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ある日の放課後ーー
あら? まだ、みなさまお揃いじゃないのですわね
あ、楓ちゃんたちだ!
まだ誰も来ていないわ。1番乗りよ
サドネたち、いちばん?
えへへっ、やったねっ!
まだ約束の時間にはちょっと早いからね
でも、そろそろみんな来る頃じゃないかなー?
ガラッ
はー、疲れた疲れたあ
しんどいのじゃ
あ、ぴったり来た!
桜はともかく、ひなたが疲れたなんて言うの珍しいね
何があったの~?
もー、聞いてよ!
今日1年生と合同体育っていうのがあったんだけど……1年生たち、ぜんっぜん、ひなたの言うこと聞いてくれないの!
こっちに来いと言えばあっちに行くし、静かにしろと言っても2分後には宴席の賑わいじゃ
たった1時間だったのに、もうすっごく疲れたよ~
まあ……それは大変そうね
でも、後輩の子たちに指示したりしてるんだ
二人とも先輩っぽくなったじゃん!
えへへ~
べ、別にわしはどうでもいいのじゃが……
ドアピシャーーーン!!!
は~いっ、うららの勝ちっ!!
はぁ……はぁ……はぁ……
こらっ!
はあ……廊下は……はあ……走るなと……げほっげほっ
ゆり、大丈夫?
もー、ゆりってばムチャするんだから
す、すごい勢いで入ってきたと思ったら……
いったいどうしたんですの?
あー、それがさ~
もう、うららちゃんっ。花音先輩に失礼だよ
失礼じゃないもん。
うららの勝負を受けたのはかのかの先輩なんだから!
……ってことで、週末のf*f(フォルテシモ)のライブチケットはアリーナ席を用意してよねん♪
くっ……
これはつまり……
どういうこと?
この教室まで競争して、勝った方に好きなものをやるっていう勝負でもしていたんじゃろ
えへへっ、大当たり~♪
そして走っている二人を見たゆりが二人の後を追いかけて走ってきたんじゃな
そういう……げほっ!
げほげほっ!
ゆり、落ち着いて
おーっ、さすが桜!
すごい推理!
こんな短時間で真実を突き止めるなんて……やりますね、藤宮さん
桜ちゃんすごーい!
(正直、状況を見れば答えに辿り着くのはそう難しくなかった気がしますが……)
でも、なんで花音さんがそんなくだらないことに……
うっ
ちょっと!
くだらないってなによぉ!
いつも通り、蓮見さんに乗せられちゃったのよね
ちょっと!
いつも通りってなによ!
(この二人……やっぱりちょっと似てるよね)
はっ、いけませんわ!
こんなことをしている場合ではありません。先生が来るまであと30分しかありませんわよ
わー、ほんとだ!
早く準備しなくちゃね!
みんな、ちゃんと『あれ』準備してきた!?
ああ、もちろんだ!
それじゃ、急いで準備しましょー!
30分後ーー
(こうして星守クラスーーいや、元・星守クラスに呼ばれるのも何度目かになるな。もうほぼイベント用の教室になりつつあるけど……今日は誰の誕生日でもない。いったいなんの集まりなんだろう?)
ガラッ
パパパパパパパーン!!!!
うわっ!?
先生……
神樹ヶ峰就任5周年……
おめでとうございまーす!!
おめでとうございまーす!!
みんな……そうか、今日は僕がこの学校に就任して、5……ん? なんか計算が
もうっ、細かいことはいいのっ!
今日は先生のためのパーティーなんだから♪
うん。おにいちゃんのために、みんないっぱい準備した
じゃーんっ!
こちら、くるみ特製のブーケでーっす♪
うおお……すごいな。結婚式で見かけるような立派なブーケだ
良かったわね、一生経験できそうにないものを疑似体験できて
(厳しすぎるぞ)
カスミソウさんとピンクのバラさん、そして白のダリアさん。みんな『感謝』の花言葉を持つお花さんたちです
感謝、か……ありがとう。僕のほうこそ、みんなに感謝してるよ。クラスが解散してもこうやってみんなで集まってお祝いをしてくれたりして、僕は……
もうっ、湿っぽいのはなしですよ~?
っ!? その声は……
5周年おめでとうございます、先生
随分長く続いたものね
あらぁ、これで終わりじゃないわよ。もっともっと続けていくでしょ?
ね、センセ♡
わざわざ……来てくれたのか
当たり前です!
先生のお祝いパーティーするって言ったら、駆けつけてくださったんですよ!
うう、みんな……ありがとうありがとう
ちょっと先生ってば泣いてるの?
いやこれはっ……ちょっとホコリが目に染みたというかなんというか
ふふっ、まだまだパーティーは序盤ですよ!
このあともどんどん楽しんでいきましょー!
おーっ!
数時間後ーー
はぁ……久しぶりにたくさん食べたな。正直今月は貯金もやばかったし、千導院家のご馳走は本当に助かった。しかし……やっぱりパーティーが終わったあとが一番寂しいな。それに……ミサキもいたら、もっと……ん?
ニモツツミアゲッ!!
こ、この家の前のダンボールの山は!?
今月は通販で散財とかしてないはずだぞ!?
……って
『先生へ』
っ! これは……!
『過去からの贈り物です。来たるべき、お祝いのときのために。きっとみんなも何かしらの催しをするでしょうから、私も先に選定し、送っておきます』
ミサキ……向こうに行く前にそこまで考えてくれていたのか。でも、いったい何を送ってくれたんだ?
『この贈り物の選定において、私はまたひとつこの代物がいかに優秀かを再確認することになりました。感謝します』
え……
(なんだか嫌な予感がするのはなぜだろう)
『大変に日持ちし、身体にとても有用であり、日々肉体を強化してくれるもの。人類史上最高の発明品と言っても過言ではありません。このーープロテインは』
やっぱりか~~~!!! ……でも
『それでは先生、お身体に気をつけて。これからも、みんなのこと、よろしくお願いします』
……そうだよな。星守クラスは解散になってしまったけど、僕はみんなにとってずっと『先生』なんだ。だから……これからも一層気を引き締めていかないと。そうじゃないとミサキにも顔向けできないし
ニモツドッコイショ!
……さあ。このプロテインでも飲んで、明日からも頑張ろう!
おわり
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