コロカ事業

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奥多摩のわさび漬


 

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手間をかけてもいいものを

金子さんは「もっとわさび漬けのおいしさを知ってもらいたい」と、商品開発にも力を入れてきました。定番商品のわさび漬けにも、山城屋ならではの工夫がこらされています。

一般的なわさび漬けは、常温熟成させた酒粕とわさびの茎を混ぜるため、薄茶色をしています。しかし、山城屋では酒粕を8ヶ月もの時間をかけて低温で熟成。そうすることでうまみと香りを引き出し、酒粕の白さを残したまま仕上げるのです。

さらに、酒粕は地酒・澤乃井の搾りたてを使用。精白65%以上という酒粕は、そのまま食べてもおいしいほど。食感をよくするために裏ごしをするなど、丁寧に製造しています。「栽培に個性がでるように、加工にも個性がでます。同じわさびでも、混ぜるタイミングやひと工夫で味が変わる。手間をかけてもいいものを作りたいのです」

 

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わさび漬けの新しい魅力

わさび漬けを試食してみると、口当たりはふわりとなめらか。わさびの辛みがピリッときくのと同時に、酒粕の甘い香りと豊かな風味が口の中に広がります。

「わさび漬けはお酒の肴だけでなく、ステーキや天ぷらなどの脂っこいものとの相性がいいんですよ。特になすの天ぷらなんかにつけると本当においしい」と金子さん。納豆に加えてしょうゆをたらしたり、マヨネーズと混ぜてサンドイッチにしたりなど、意外なアレンジ方法を教えてくれました。

わさび漬けの新しい楽しみ方を自分で発見するのも楽しそうですが、店内には金子さんが試行錯誤を重ねて出来た商品も多数あります。岩のり風味やもろみと混ぜたもの、なんとクリームチーズと合わせたわさび漬けまで! こちらはクラッカーにのせて、発泡日本酒やワインと合わせたくなる新鮮な味わいです。

 

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伝統を柱に工夫を続けたい

父親からは「後を継げ」とは言われなかったものの、自然とこの道にすすんでいたという金子さん。会社を継いだ後は、全国各地の百貨店催事に出向いては試食をすすめ、ファンを増やすための営業もしてきました。観光地としてはオフシーズンの真冬でも注文が途絶えないのは、商品の実力はもちろん、そんな地道な努力があったからこそ。今でもその頃のお客様や、そのお子さま世代が商品を買いに来てくれるそうです。そして、現在は息子の幸弘さんが全国各地を飛び回っています。

「代々作ってきたわさび漬けは、伝統としてしっかり守っていきたい。それはこの店の柱です。でも、もっと若い人にも親しんでもらえるように、ほかにはない商品開発も続けていきたいですね」。

ぜひ山城屋を訪れて、わさび漬けの新しい魅力と出会ってみてください。

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