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甲信越 長野県松本市・石井味噌

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生きた味噌に会いに

新宿から「あずさ」に乗ること3時間弱、都心から乗り換えなしで長野県は松本駅に到着しました。松本駅のロータリーを抜けて20分ほど歩くと、石井味噌の白い漆喰の壁が見えてきます。
広い駐車場と大きな蔵の奥には、石井味噌の店舗があります。ここで我々を迎えてくれたのは、石井味噌六代目当主となる石井康介社長です。
さっそく看板商品である、三年熟成させた「信州三年味噌」について伺いました。

 

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連綿と続く味噌文化

信州でこれほどまでに味噌作りが盛んな理由もお聞きしました。
信州での味噌文化の始まりは鎌倉時代に遡ります。当時、信濃国筑摩郡(現在の松本市)出身の覚心(かくしん)和尚が中国から味噌の製法を持ち帰り、広めました。
この覚心和尚は醤油の起源ともなった金山時味噌を和歌山県の湯浅町周辺で広めた人でもあります(※)。こう聞くと、覚心和尚が日本の文化に与えた影響の大きさに驚きを禁じ得ません。
さて、その後も味噌は塩分と栄養分を摂取できる食品として、戦国時代には大名たちが製造を命じ、関東大震災や第二次世界大戦の際には救援物資として東京に届けられるなど、信州の地で盛んに作られ続けました。
高度経済成長期になると、急速に増える需要に追いつかなくなり、信州味噌研究所を中心に乳酸菌や酵母の新たな培養法などが研究され、発酵促進剤を使った速醸法による味噌が出回るようになりました。
石井味噌では、このような新しい製造方法には取り組まなかったのでしょうか。

※覚心和尚は湯浅醤油の取材記事にも登場してきますので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

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こだわり製法の誕生

実は、石井味噌でも速醸法を研究してみたそうです。しかし、どうしても納得のいく味噌ができずにいました。そのとき、
「色の濃い、赤い味噌が美味しかったよ。」
という常連のお婆さんの言葉を聞いた五代目当主は「天然」「3年醸造」で勝負することを決意したのだそうです。
「三年かけてできたこの味に、足し算もなければ引き算もない。」
五代目当主はこう語り、頑なに昔ながらの天然醸造法を守り続けました。

そして、出荷後も発酵を続ける生きた味噌のため、しっかりと品質管理ができる直販をメインに据え、試食を通して味噌の魅力を伝えるスタイルを築いてきたそうです。

 

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譲れない 素材と桶

蔵を見せてもらうと高さ2m、直径2mの、なんと4トン半もの味噌が入る桶がずらり。一目瞭然ですが、石井味噌の桶はすべて杉の木桶です。
「それぞれの桶には桶付きの乳酸菌や酵母がいて、そのため、桶によって味噌の味は微妙に変わってくるんですよ。」
桶を見つめながらそう語る石井社長。味噌の風味を豊かにする桶付きの菌は味噌屋の宝なんだそうです。
これらの桶に仕込まれる原料の大豆は全て国産、水は北アルプス系の湧水です。このため材料費はどうしても高くなってしまいますが、昔からの味を支持してくれるファンの人たちに納得の味を提供するためのこだわりです。

 

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