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  1. 甲信越・東海・北陸地方一覧

能登の魚醤いしり


 

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能登の生活文化

そこで思いついたのが、能登の特産で広く知られていた日本三大漁醤の一つである「いしり」でした。

七尾地域ではそこまで「いしり」の文化を受け継いではいなかったのですが、輪島市や珠洲(すず)市などの奥能登地域では今も家庭で使われている「いしり」は、まさに能登の生活文化ではないかということで、森山さんは能登中の「いしり」を探し回ります。

イワシのいしりやイカのいしり、サバのいしりなど、様々ないしりに出会い、そんな中で発見したメギスのいしり。幅広く多くの人に受け入れてもらえるようないしりにやっと出会い、そのいしりを使った飲食店「まいもん処 いしり亭」を始めます。

開店して9年。ようやく地元の人や観光客が「いしり亭」に集まるようになり、今ではしっかりと地域の核としての機能を果たしているそうです。

 

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いしりの生産者・桜井さんのお話

今回の取材では、株式会社御祓川で販売されているいしりの製造者である桜井さんにもお話を聞くことが出来ました。

もともと奥能登ではイカのいしりや、イワシのいしりなどが作られていて、能登の一般家庭に欠かせない調味料として使用されていました。

そこで、水産加工業を行っていた桜井さんが、イワシで出来るならメギスでも出来るだろうと作り始めたのが14年前のことだそうです。

「作ってみると、メギスのいしりは今まで作っていたどのいしりよりも一番美味しかった。」と桜井さんは仰います。

いしりは、もともと石川県でよく食べられているメギスのすり身団子を作るときに残る頭などの余り物から出来た副産物だそうで、自然の力だけで発酵させて作られているということもあり、生産量が非常に限られています。

「たくさんの方に使ってもらえるようになることも大事だが、作れる量の中で今後どうしていくか、いろいろと考えながらやっていきたい。」と、これからのことについても桜井さんは話します。

 

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能登スタイル

いしりなどの能登の産物を通して能登の生活文化を伝える。また、逆に能登の生活文化を伝えて能登の産物を知ってもらう。

そんな能登の情報発信プロジェクト「能登スタイル」にも参加している株式会社御祓川。

「能登スタイル」とは、2007年の能登半島地震の復興基金をもとに行政、外郭団体の財団法人、民間が交わり企画された官民合同の情報発信プロジェクトのこと。

能登の暮らしはもともと、ロハスなどと言わずもがなそういった豊かな暮らしが実現されている地域でした。それに気付き、それを伝えるため、それに共感してくれる全国の人々と繋がるために「能登スタイル」は出来たのだそうです。

主な取り組みはオンライン上での情報発信ですが、イベントの企画や、能登の産物を利用した商品開発を地元の企業と行うなど、地域に密着した取り組みも行っており、このプロジェクトを通して、能登の人々同士の繋がりが少しずつ強くなってきているそうです。

地域を活性化させるためには、まずその地域の人々のつながりが重要となります。株式会社御祓川も能登スタイルに参加して、多くの繋がりを得たそうです。

「まちづくり」への基盤である「地域の人々のつながり」をもとに、今後、どういった能登を見せてくれるのか、株式会社御祓川の今後が楽しみです。

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