アリス・ギア・アイギス×バトルガール ハイスクールコラボを記念して、
過去編(第3部)を
期間限定で公開いたします。
Scenario Full Text
シナリオ全文
『最強の星守』たち
第93話 『最強の星守』たち
みきえーっとぉ、進路調査、第1希望……パ、ティ、シ、エっと
遥香私は……第1希望、医師
昴って、ふたりは第2も第3も、パティシエと医師でしょー……
遥香あら、そんなことないわよ、昴。音楽の道も捨てがたいし……
昴ああ、そっか。でもなー……遥香はどっちでも大成功しそうだしなぁ……
遥香ふふっ……そうだといいけれど。昴は、何て書くの?
昴えっ、あっ、アタシは……
昴が、学校の先生……
昴でもでもでも……アタシに務まるかどうか不安っていうか、どーしよっかなーぁぁぁ……
遥香そんなに深刻に悩まないで、今は、気持ちを素直に書いておいてもいいのじゃないかしら
みきそーだよ、昴ちゃん!高1なんだし、まだまだ時間はあるんだからっ!
昴そ、そうかなーっ!?
樹あらあら、にぎやかね
風蘭なんだ、進路調査票か?
みきあ、八雲先生に御剣先生っ!
昴あのっ!おふたりは……どうして教職を目指されたんですかっ?
風蘭ん?どうした、急に?
昴い、いやあの……アタシも、学校の先生とかいいかなーって思ってて……
樹まぁ、そうなの?
風蘭ああ、昴なら体育の教師とか、似合うかもな
昴ほ、ホントですかっ!?
樹ええ。風蘭よりずっとしっかりした教師になれるんじゃないかしら
風蘭ハハハッ!違いない
樹そこは否定しなさいよ……
風蘭そんなこといってもなー
風蘭5年前まで、アタシが教師をやるとは自分でも思ってもなかったし
昴そうなんですかっ!?
みきじゃ、じゃあ、どうして先生に?
風蘭んー……オトナの事情?
樹風蘭。そんな、高校生に夢も希望も失わせるような言いかた……
風蘭えー、そうか?イツキだって教師になる気、全然なかったじゃないか
昴八雲先生までですかっ!?
樹え、ええ……私は、ずっと司書になりたかったから
みきそうだったんですね!知的で、八雲先生にすごく似合いそうですっ
樹ふふっ、ありがとう
昴あの、それじゃあ……ホントに、おふたりはどうして教師を選んだんですか?
樹そうねぇ……イロイロあったから、かしら……
昴イロイロ……ですか
風蘭そ。オトナの事情だよ
みきどんな事情なんですか?
昴み、みき……
樹……そうねぇ
樹あのころ、私たちは3人そろって『最強の星守』と人々に呼ばれ、浮かれていたの
昴さ、最強の星守っ……
みきわぁ、すごいですねっ!
遥香あら、でも……3人というのは……?
風蘭……ハァ。アタシとイツキと、もうひとり……
風蘭いたんだよ、強い星守がな
(5年前・地球――)
茉梨くるよっ!いっちゃん、ふーちゃんっ!
風蘭おうっ!任せろっ!
イロウス・ウォルフウォオオオオオン!
樹いつものより大きいっ!?
樹茉梨っ、よけてっ!
茉梨う、うんっ……
風蘭テヤァァァァッ!!!
樹ヤァッ、ハッ、ハイッ!
茉梨(わ、わたしもっ……)
茉梨やぁぁぁぁっ!
風蘭マリッ!ムリするなっ!
茉梨だい、じょうぶっ!
樹これで決めるわよっ!はあぁぁぁっ!!!
イロウス・ウォルフギャアアアアァッ!
風蘭ふぅ……やったな
樹ええ。茉梨、ケガはない?
茉梨うん。わたしはへーき……
街の人たち『最強の星守』さん、かっこい~っ♡
風蘭おー、どーもどーも~♪
街の人たちあなたたちがいれば地球は安心ねっ!
樹はいっ!任せてくださいっ!
女の子あのっ!星守のおねーさんっ!握手してくださいっ!
茉梨えっ、わ、わたしっ!?
女の子応援してますっ!がんばってくださいっ!!!
茉梨は、はい……
茉梨(でも……わたしだけ、まだ覚醒できてない……)
茉梨(なのに、わたしも『最強の星守』っていわれるのは……なんか、ヘンだよね……?)
茉梨(ホントに……がんばらなきゃ)
風蘭さ~、帰ろー帰ろー♪ハラ減ったーぁ
樹もうっ、みっともないから大きな声で言わないの!
風蘭へーへー。相変わらず口うるさいなぁ、イツキは……
茉梨(ふたりの足をひっぱらないためにも、もっともっとがんばらなくちゃっ)
樹茉梨~?なにしてるの、帰るわよー?
茉梨あっ、はーいっ、いま行くーっ!
茉梨神樹さま……
茉梨(わたし、なにが足りないのかな……?)
茉梨(どうしたら、ふーちゃんやいっちゃんみたいになれるんだろう……)
茉梨(わたしも、もっと強くなって、みんなをちゃんと守りたいのに……)
茉梨……ハァァ
茉梨(とりあえず……いっぱい特訓しようっ)
茉梨やあっ!ハッ!はあぁぁぁっ!
樹……らーんっ?ふうらーーーんっ!
茉梨……あれ?いっちゃん?
樹まったくもうっ!風蘭ったら……まだ来てないのっ?
茉梨いっちゃん、どうかしたの?
樹あ、茉梨。風蘭、見なかった?
茉梨見てないけど……いないの?
樹そうなの!特訓するから、ちゃんと来るようにって、いってあったのにっ!
樹逃げたわね……
茉梨あはは……
樹最近、イロウスが増えたから……サボらないでよっていったばかりなのに
茉梨うん……ほんとに、増えたよね
樹このあいだなんか、神樹ヶ峰の商店街のほうにも出てきちゃったでしょ
茉梨神樹さまのおかげで、今までこのあたりに出たことはなかったのに
樹そうよ。だから私たちがますますがんばらないとなのよっ!
茉梨うんっ!そうだねー
茉梨わたしたち星守がシッカリ特訓して、強くいなくちゃだよねっ!
茉梨よしっ!ふーちゃんを探そう!いっちゃん!!!
(ドカッ!バキッ!グシャッ!)
風蘭ふぅ……まだやるヤツ、いるかい?
チンピラたちくそぅ……お、おぼえてろっ!
風蘭えー、めんどくさいからヤダ―
ギャルきゃー♪風蘭姉さん、ステキー♡
風蘭ハイハイ、あんがと。また絡まれたりしたら、すぐアタシにいいなよ
ギャルハーイ♪じゃーね、バイバーイ♪
風蘭ったく……アイツら、ウチのシマ荒らすなんてイロウスよりタチ悪いなぁ
風蘭あ!やっべ……そういや、イツキに呼ばれてたんだった
風蘭……ま、いっか。ゆっくり行こっと
茉梨あー、いっちゃん、いたよ!ふーちゃん、見っけー!
樹こんなところで油を売っていたのね、風蘭っ!
風蘭げっ、みっかっちった!
風蘭よ、よう、マリ……イツキ、なんか顔がコワイぞ?
樹あなたが特訓をサボっているからでしょっ!
風蘭えー、だってぇ、特訓なんてかったるくてめんどくさいんだモーン
樹モーンじゃなーいっ!特訓するっていってたでしょ!
樹ちょっとは茉梨を見習いなさいっ!真面目にやって!
風蘭ハイハイ……たく、イツキはクチうるせーなぁ
風蘭そんなんじゃはやく老けるぞ?
樹だったら、風蘭がこれ以上怒らせないでちょうだいっ!
茉梨ま、まあまあ。ほらほら、ふーちゃん。みんなで特訓しよ?
風蘭アタシはパ~ス
樹ダ・メ・よっ!ほら、はやく来なさいっ!
風蘭いででででっ!イツキっ!耳をひっぱるなぁ!
茉梨あはは、あきらめたほうがイイよー、ふーちゃん
茉梨いっちゃんからは逃げられないって♪
風蘭うえぇー……
樹そうよっ!今日は3人でのフォーメーションがうまくいくまで絶対、逃さないわよ~♪
風蘭ひいぃー……鬼だー、鬼がいるーぅぅぅ
樹なんですってぇ?
茉梨ま、まあまあ。じゃ、みんなで特訓場へレッツゴー!ね、ねっ?
『最強の星守』たち
第94話 地球は安泰?
風蘭はあぁああっ!
樹てやぁっ!
茉梨(うわー……いっちゃん、容赦ないなぁ……)
風蘭た、たんまたんま!イツキ、待てって!
樹なによっ?
風蘭なにじゃないっ!なんか、怒りこもってるだろっ!?
樹えー、そーんなことないわよぉ?
茉梨こもってる、こもってるよー、いっちゃーん……
樹だって茉梨ーっ!きいてよ、風蘭ったら、またケンカしたのよっ!?
風蘭げっ、なぜそれを……
茉梨あ、ホントなんだ?
風蘭やべっ
樹さっき、特訓を始める前に理事長室に呼ばれて、厳重注意を受けたのっ!
風蘭マジか。いやー、わりーわりー♪
樹わりーじゃないわよっ!
樹ケンカはダメってあれほどいつも口をすっぱくして言ってるでしょうっ!
茉梨い、いっちゃん、落ち着いてー……
樹だいたい、風蘭は星守としての自覚が足りないのよっ!
風蘭だ、だってサー、自分のシマ荒らされたら、守らなきゃだろ~……
風蘭イロウスもチンピラもたいして変わらないじゃないかぁ
樹ぜ・ん・ぜ・んっ!ち・が・い・ま・すっ!
茉梨いいいいっちゃーん、どうどう~……
ウォーーーーーン!
茉梨えっ!?
風蘭イロウスだっ!
茉梨(こ、こんな、神樹さまのすぐ近くで……?)
樹ふたりとも、行くわよっ!
イロウス・ウォルフギャアアアアッ!
樹ハァハァハァハァ……
風蘭ハァハァハァ……クソッ、このままじゃ……
茉梨くるよっ!
風蘭チッ!
樹こうなったら……フォーメーション、試すわよっ!
風蘭ええっ、まだ、練習途中だろ……?しかも、3人の力のバランスが……
茉梨や、やろう、ふーちゃんっ!
茉梨このままじゃ、イロウス、どんどん増えちゃうし
風蘭でもなぁ……
樹いいえ、やりましょうっ!こうなったら実地訓練よっ!
風蘭チッ!どうなっても知らないぞっ!?
樹茉梨は右から注意を引いて!
茉梨わかった!
樹風蘭、ふたりで左に回り込んで、一気に叩くわよっ!
風蘭オッケー!
樹じゃ、いくわよっ、茉梨っ!
茉梨う、うんっ!
樹ハァハァハァハァ……
風蘭ハァハァハァ……クソッ、しぶといな……
茉梨ハァハァハァ……ほ、ほんとなら、倒せてもいいくらいなのに……
樹くるわよっ!
茉梨(わたしがしっかりしないと……この作戦は、うまくいかない)
イロウス・ウォルフグルルルルルッ
茉梨きゃあっ!
風蘭マリッ!無事か……っ!?
茉梨だいじょうぶっ!
イロウス・ウォルフギャアアアアッ!
茉梨きゃぁぁぁぁっ!
樹茉梨っ!
風蘭これで、トドメだァ!ハァァァァッ!
イロウス・ウォルフギャギャギャギャギャッ!
樹ふう……なんとか、倒せたわね
風蘭ああ……そうだな
樹茉梨、平気?
茉梨う、うん……ありがと
茉梨(わたし……また役に立てなかった……)
樹茉梨……?
茉梨あ……な、なんでもない……
ビビッービビッービビッー!
樹あら、風蘭のケータイ?
茉梨なにかあったの……?
風蘭ああ、緊急事態……だ
風蘭緊急事態……だ。アタシ、行くねっ
樹ま、待ちなさい、風蘭!
茉梨行くって……どこに?
風蘭バイトー♪
茉梨え?緊急事態、なんだよねー?
風蘭そーそー。なんかー、奥さん風邪で寝込んで
風蘭大将ひとりでテンテコマイなんだってさ。手伝ってくれってSOSきた
樹風蘭のバイト先って、あの、ラーメン屋さんよね?
風蘭そ!夕飯にまかないラーメン・チャーハン大盛りで手を打ったから、行ってくる~♪
茉梨い、いまからっ?
樹ちょ、風蘭っ!
茉梨……飛んで行っちゃったねぇ
樹まったく……学校にイロウスの件、報告しなくちゃいけないのにっ
樹ひとりだけ逃げるなんてぇ……
茉梨で、でも、お仕事なら仕方ないよ
樹そうだけどっ。報告書、いっつもあの子のぶんまで、私が書かされるのよ!?
樹このあと、本屋に行こうと思ってるのにぃ
茉梨あ、じゃあ……今日はわたしだけで報告しとこうか?
樹ダメよ!一応、私がリーダーだもの。無責任なことはできないわ
樹も~、はやく続きが読みたくて読みたくて仕方ないのにっ!
茉梨そ、そっか……
樹……茉梨?どうかした?
茉梨あっ、ううん、なんでもないよ?
樹そう?ならいいけど……
樹そうだわ、茉梨も一緒に行かない、本屋?
茉梨え?
樹そのあと、風蘭のバイト先へ行って、ごはん食べましょ♪
茉梨いっちゃん……
茉梨で、でも、大丈夫かな?緊急事態って、忙しいんじゃ……
樹平気でしょ。別に邪魔しにいくわけじゃないし
樹働いてるところでも見ないと、風蘭がマジメにやれる子だって、忘れそうだわ
茉梨あ、あはは……
樹それに、あそこのカレーチャーハン、絶品なのよねぇ♪
茉梨あー、いっちゃん、カレー大好きだもんねー
樹ええ♪そーだ、ギョウザもつけちゃおうかしらっ
茉梨いいねー、わたしも頼んじゃおうかな
樹ふふっ、そうと決まれば、一刻もはやく行きましょ行きましょっ
茉梨あ。でも、先に、報告……
樹そうね、ちゃちゃっとすませちゃお♪
~本屋~
店員ありがとうございましたー。またお越しくださいませ―
樹(ふふっ♪新刊、ゲットゲット~♪)
樹茉梨、おまたせー……あら?
茉梨『そして、神樹さまは女の子の願いを聞き入れ、力を授けてくれたのです……』
女の子しってるー!しんじゅさまがほしもりにしてくれるのー!
茉梨ふふっ、そうだよー
茉梨でもね、なったあとは、自分でがんばらないと強くなれないんだよ
女の子そうなの?
茉梨そう。だから、星守たちは、いつもがんばって特訓してるんだ
茉梨(なかなか、身にならないんだけどねー……ハァ)
女の子のお母さんあらあら、この子ったらこんなところにいたのね……すみません、ご迷惑を
茉梨いいえー、ぜんぜんっ!
女の子えほん、よんでもらったの!『ほしもりとしんじゅさま』!
女の子のお母さんまあまあ、よかったわねぇ。あら?あなた、ひょっとして……?
茉梨あっ、じゃ、じゃあ、わたし、行かなくちゃ……またね、ばいばいっ!
女の子ばいばーい!おねーちゃん、ありがとー!
タッタッタッ!
樹まーり、店内は走らない!
茉梨あっ、いっちゃん!ご、ごめん……
茉梨えーっと……み、見てた?
樹ええ、見てたわよ~。いいお姉さんしてたじゃない
茉梨あははー……そ、そうかな
樹知り合いの子?
茉梨ちがうよー。さっき、ここで会ったの
樹そうなの?すごいわね……会ったばかりであんなに懐かせるなんて
茉梨えへへ、小さい子は好きなんだー
樹茉梨って……ひとりっ子だっけ?
茉梨うん、そうだよ。だから、ついついかまいたくなっちゃうんだよね
樹(私もひとりっ子だけど、あんまりそういうふうには思わないわねぇ……)
樹茉梨は、いいお母さんになりそうね
茉梨ふええっ!?い、いっちゃん、急になにーっ!?
茉梨も、もうっ、新刊買えたんでしょ!?
茉梨ははははやく、ふーちゃんとこに行こーっ!
樹ふふっ、そうね。急ぎましょ、もうお腹ペコペコよ!
茉梨うんうんっ!わたし、春巻きも頼んじゃおうかなーっ
ガラッ!
風蘭らっしゃーい!
風蘭あれ、なんだ。マリにイツキじゃないか
茉梨えへへー、きちゃった
風蘭ああ、今ちょい忙しいからあんまり相手はできないけど、ゆっくりしてってくれよ
樹相手なんていいわよー、邪魔しにきたんじゃないから
樹カレーチャーハン食べにきたの♪
風蘭だろうと思った。あと、ギョウザだろ?
樹よくわかったわね……
風蘭そりゃな。マリは?春巻きか?
茉梨んー……それも捨てがたいけど……
茉梨今日は、ラーメン・ギョウザのセットにしようかなー
風蘭ハハッ。イツキにつられたな
茉梨そうかも……えへへ
風蘭ハイヨっ、カレチャー・ギョーザとラーギョーセット、まいどー
茉梨ふーちゃん、忙しそうだねぇ
樹そうね。マジメにやっているみたいで安心したわ
茉梨あはは……
茉梨あ、そうだ。頼んだのがくるまで、課題やらない?
茉梨今日の、いっちゃんに聞きたいとこあったんだー
樹いいわよ。どれ? 古典?
茉梨そーそー。もー、昔の言葉なんて、ちんぷんかんぷんだよー
樹ふふっ、まかせて。その辺りは、大得意だから♪
茉梨ありがとー。えーと、ここなんだけどね……
樹ああ、これは……こっちの文の意味がわかれば、通じるようになるわよ
茉梨ふんふん……
茉梨(いっちゃんは勉強できるし、生徒会長だし、星守のリーダーだし……)
茉梨(ふーちゃんはみんなに慕われてて、身体張って仲間を守ってるし)
茉梨(バイトでもしっかり働いて、頼りにされてるし……ふたりとも、すごいなぁ)
茉梨(友達だけど、憧れちゃう……わたしも、しっかりしないと)
風蘭ふー。おっつかれさーん
樹あら、風蘭。休憩なの?
風蘭ああ。客も切れたし、ダチがきてんなら一緒に食ってこいって
茉梨やったぁ。座って座ってー
樹といっても……私たちは、もうほとんど食べ終わっちゃったけれど……
風蘭へーきへーき。アタシ食べんのはやいから
茉梨えー、しっかり噛んでゆっくり食べないとダメだよ、ふーちゃん
風蘭へいへい……
樹あら、風蘭はやっぱりチャーハンは欠かさないのね
風蘭ああ!ラーメン・チャーハン大盛りがまかないの約束だしな!
茉梨ふーちゃん、ここのチャーハンほんとに好きだよね―
茉梨おいしさの秘密はわかりそう?
風蘭それがなー……何度食っても、わかんないんだよなー……
風蘭企業秘密だー、とか言って、レシピも教えてくんないし
樹あらあら
風蘭でも見てな。いつか必ずアタシの手で秘密を暴いて、
風蘭超絶うまい自動チャーハン製造機を完成させてやるっ!
茉梨あははっ、そしたらいつでもチャーハン食べ放題だね!楽しみー♪
樹ふふっ、がんばって
風蘭おう!まかせとけっ♪
ガラッ
大将へい、らっしゃいっ!
お客さん大将、マシマシラーメン……って、あらっー!?あなたたち、もしかしてっ
風蘭……ん?
お客さん『最強の星守』が3人そろってないっ!?
樹え、ええっと……
お客さんやっぱり~!ひとりはバイトしてるってウワサだったけど、
お客さん3人そろってるなんて、ラッキーだわっ♪
男の子あの、あのっ!おれとショーブしてくださいっ!
茉梨う、うん……えーっと……?
風蘭ハイハイ、マリとイツキはオサワリ厳禁ー。アタシでよければ受けて立つ!
樹ちょっ、風蘭っ!?小さい子相手にアナタ、なにをっ……
風蘭行くぜっ!
男の子むむむーっ!ねーちゃんさすがだなっ、つよーいっ!!!
風蘭はっはっはー!
茉梨(う、腕相撲……)
樹風蘭ったら……
お客さんあなたたちがいれば地球は安泰ねっ!
風蘭とーぜんっ♪
男の子イロウスなんかに、ぜったいぜったいぜーったいまけんなよっ!
風蘭まかせとけって♪な、イツキ、マリ!
樹ええ!もちろんっ!
茉梨うんっ!
樹(でも……本当は、あんまり実感ないのよね……地球を守れ、とか言われても)
風蘭(確かにイロウスは増えてるけど……そんなたいそうなことかぁ?)
茉梨(いっちゃんとふーちゃんがいれば、負けるはずないもんね)
茉梨(けど……わたしは、もっともっとがんばらないと)
翌朝――
茉梨ハアッ!ヤアッ!セイッ!
茉梨(いっちゃんとふーちゃんの足手まといには、なりたくないっ……)
樹あら、茉梨?おはよう。はやいのね
茉梨あ、あっ、いっちゃん!?
茉梨お、おはよー……
樹どうかしたの?こんなはやく……?
茉梨う、ううんっ!なんでもないよっ!
樹そう?なにもないならいいけれど……
樹そうそう、今日ね、茉梨にちょっと頼みがあるのよ
茉梨な、なに?
樹放課後、手伝ってほしいの♪
『最強の星守』たち
第95話 強制テスト勉強会
放課後――
樹もーーーっ!ふーらぁぁぁんっ!!!
茉梨あはは……逃げられちゃったねー
樹まだよっ!絶対に逃さないんだからっ!!!
茉梨さすがだなぁ、ふーちゃん。危機回避能力ハンパないねー
樹笑いごとじゃないわよっ、茉梨!強制勉強会しないとテストやばいんだから、あの子!
樹もし赤点、なんてことになったら……
茉梨な、なったら……?
樹『最強の星守』が、『愛嬌のバカ盛り』って呼ばれちゃうじゃないっ!
茉梨そ、そうかな……?
樹そうよっ!
茉梨そっか……さ、探さなきゃだねっ
樹もうっ!ふたりなら簡単に捕まえられると思ってたのにぃっ!
茉梨あはは……
茉梨あっ!ねーねー、ふーちゃ……御剣サン、見なかった?
女子生徒ああ、今さっき空き教室に入っていくの見たけど?
樹空き教室ねっ、ありがとう!待ってなさい、風蘭っ!とっつかまえてやるぅ
樹と、思ったのに……いないわねぇ……
茉梨そうだねー……どこ行っちゃったんだろう?
茉梨あっ、いっちゃん。ここのドア、壊れてるよ……
樹あら、本当。……この校舎もそうとう古いものねぇ……
茉梨わたしたちの卒業と同時に新校舎が完成して……
茉梨そのあとは、取り壊しちゃうんでしょ、なんだか……さみしいなー
樹まあ、仕方ないわね。かなり古くて、危険な場所もあるから……
茉梨そうだけど……
茉梨あっ!ふーちゃん見ーっけ!
風蘭ゲッ!やべっ!
樹待ちなさいっ!風蘭っ!!!
風蘭やだよっ!ベンキョー会なんかっ!
樹やらないで困るのアナタよ、風蘭っ!
樹星守おバカ認定されたいのっ!?
風蘭いーよ、アタシはおバカで―っ
樹私はガマンならないのっ!みんな一蓮托生なのよっ!?
風蘭でもヤだーっ!
ダダダダッ!
樹あっ、コラ待ちなさいってばっ!!!
茉梨あっ、ふーちゃん、そっちは床板が古……
ダダダダッ、バキッ!ズボッ!!!
風蘭うわあああっ!?
樹風蘭っ!?
茉梨いよーって……だ、大丈夫ー……?
風蘭な、なんで、床が抜けるんだ……
樹まったく……どんな力で踏み抜いたのよ?
風蘭そんなに、チカラ入れてねーって!腐ってんだよ、ここっ!
茉梨足、抜ける?ケガしてない?
風蘭ああ、なんとか……
風蘭ふぅ……えらい目にあった
樹逃げるからでしょ!
茉梨すっごくおっきな穴あいちゃったねー……
茉梨これ……赤点より、怒られないかな?
樹直すわよっ!
風蘭えー!?アタシらでか!?
樹当たり前でしょう。このままにはしておけないもの
風蘭でもさー、どーせ、もうすぐ取り壊すんだから……
樹ダ・メ・で・すっ!
風蘭うぐぐっ……
茉梨が、がんばろう、ふーちゃん! みんなでやればすぐだよ、きっと!
風蘭へいへい……あーあ。とんだ災難だ……
風蘭そーだ!どうせ直すならいっそ、動く歩道にするとか……
茉梨おー!それいいね、ふーちゃんっ
風蘭だっろ?そうと決まれば、さっそく部品の調達を……
樹ダメに決まってるでしょうっ!!!
樹板とクギで充分ですっ!ちゃっちゃと直して、勉強会!やるのっ!!!
風蘭&茉梨はーい
トントントントン!カンカンカンカンッ!
風蘭マリ、そっちのクギとってー
茉梨はーい、1本?2本?
風蘭めんどいから箱ごと―
茉梨おっけー
樹ふぅ……あとは、この部分の板を貼り付けたら終わりね
風蘭…………うーん
茉梨どうしたの、ふーちゃん?
風蘭いやぁ、なんか……せっかく汗水たらしたのに、つまんないなーと……
樹面白がることじゃないでしょ
風蘭いーや。なにごとも、楽しむ努力は必要だぞ?
風蘭そーだっ♪板のウラに~……こうして……
ギギギー
茉梨わあっ!?な、なに、ふーちゃん?
風蘭サインを彫る!
風蘭ふ、う、らん、っと♪ほら、マリとイツキも
樹ええっ!?そんなこと、していいわけないでしょ!?
風蘭へーきだって。どうせ見えないウラっかわだし
風蘭ほっといたって、取り壊されたら元の板になっちまうし
樹それは、そうだけど……
茉梨いいね!3人で直した記念にっ♪
茉梨ま・り、っと。はい、いっちゃん
樹……もうっ。しょうがないわねっ
樹い、つ、き……これでいい?
風蘭ジョーデキ♪
風蘭じゃ、この板を、クギで止めて、っと……
トントントンッ!
風蘭ホイ、完成っ♪これでイツキもキョーハンなっ♪
樹は、ハメたわねっ!?
茉梨いっちゃん、いっちゃん、まあまあ……
茉梨(ふふっ……3人だけのヒミツだー)
茉梨ふー、いい汗かいたね!
風蘭よっし、じゃ、アタシはこれで……
樹ダメよ?これからしっかり、勉強ですからね?
風蘭ひいぃぃぃーっ!
風蘭むーぅぅぅぅぅ……
樹あきらめなさい、風蘭
風蘭むむむむーぅ……マリまで逃してくれないなんてーぇぇぇ……
茉梨ご、ごめんね、ふーちゃん……
樹茉梨のせいじゃないでしょ!風蘭も、当たらないのっ
樹ほらほら。もう、いい加減あきらめて、しっかり教科書見なさい!
風蘭あーもー!テスト勉強めんどくさいーっ!
樹めんどくさくても、や・る・のっ!
風蘭だいたい、こんなブンポー覚えて、なんかの役に立つのかよ―?
樹それはアナタ次第でしょ!知識は多いにこしたことないのよ?
茉梨ふ、ふーちゃんっ、わたしも苦手なのやるし、一緒にがんばろう?
風蘭うーぅぅぅぅぅ……
樹私も手伝うから!ほら、問題集開いて!
10分後――
風蘭わっかんねー……
30分後――
コソコソコソ……
風蘭逃げてやる……
樹風蘭っ!
風蘭やーだー!もー、あきたー!
樹今、星守の注目度が世間でどんどん上がっているのよ
樹なのに、中でも最強とうたわれる風蘭が赤点なんか取ってたら、みっともないでしょ!
風蘭化学は最高点取ってるしー、星守は、戦えりゃいーじゃんかよーぅ……
樹ダ・メ・で・すっ!
茉梨ま、まあまあ、ちょっと休憩入れながらにしようよ、いっちゃん
樹まだ30分しか経ってないじゃない……
茉梨ほ、ほら、ふーちゃん。お菓子でも食べて、気分転換してっ!
風蘭んんんー……
茉梨(な、なにか話題話題……えーっと……)
茉梨そ、そーだっ、ふーちゃんの今週の運勢、勉強すると上がるって出てたよ!
風蘭マージでー?つっても、今週、今日で終わりじゃん
茉梨あっ、あっ、ほら、きっと今日の夜いいことあるんだよ!
風蘭いーことって、どんな?
茉梨えーっと……えーっとぉ……
茉梨ご、ご飯がおいしい!
茉梨……とか?あははー……
樹もう、風蘭っ!茉梨に絡まないの!
樹いいことがあるっていうなら、それでラッキーじゃない
風蘭へーへー……
樹ねえ、茉梨、……私は?
茉梨んーと、いっちゃんはね、忍耐・我慢がしばらく続く、って出てたよー
樹当たってるわ……間違いなく風蘭のことよね
風蘭なんでだよ
茉梨あはは……
風蘭つかさ、マリは占いとかマジックとか好きだよなー。そっちの道に進むのか?
茉梨えー、これは趣味だよー
樹そう?案外あってる気もするけれど……
茉梨占いとマジックは別物だしねぇ……どっちも半端だもん
風蘭どっちか、極めてみりゃいいじゃん
茉梨うーん……そうだねぇ
樹風蘭。茉梨だって今は、星守のほうが重要でしょ
風蘭でも別に、アタシらずっと星守じゃないんだからさー
樹それは……そうだけど
風蘭あれ、そういやマリってどうして星守になったんだ?
茉梨えー?あれ、言ってなかったっけー?
風蘭んー……聞いてない気がする
樹そういえば、そうだったかしら……?
風蘭イツキのはよく知ってるけどな。聞かなくてもしゃべるから
樹うるさいわよ
風蘭ハハハッ。で、なんでだ?
茉梨んーと……わたしが、星守になったのはねー……
『最強の星守』たち
第96話 酒出茉梨
茉梨わたし、小さいころから人見知りで……なかなか人の輪に入れなくて
茉梨小学校では、クラスのスミにいつもひとりでいるような感じだったの……
樹そうなの?でも、私たちとは、はじめから普通に話していたわよね?
風蘭むしろ、おしゃべりなほうだと思ってたぞ?
茉梨えへへー……がんばってたんだよ、変わろうと思って
風蘭へー、そうだったのか
樹なにか、きっかけがあったの?
茉梨んー……きっかけっていうか、変わろうと思ったのは……
茉梨あのね、わたし小学生のころ、生き物係だったんだ
樹生き物……ああ、飼育係のこと?
茉梨そうそう。教室にあるお花の水やりとか、飼ってる魚の面倒みたりする、あれ
風蘭ふーん。マリに似合うな。それで?
茉梨うん、それでね……そのころクラスでめだかを飼ってたの
茉梨ほとんどわたしだけが世話してたんだけど……すっごく大事にしてたのね
茉梨でも、ある日……わたしが教室にいなかったとき、
茉梨掃除の時間で、ふざけて暴れてた子たちが当たって、水槽が倒れちゃったの……
茉梨それでね、めだか、たすけることができなかったんだ……
樹まあ……残念ね
茉梨うん……それで、わたしずっとね、強くなりたいって思ってた
茉梨危ないのはわかってたのに、わたしの弱さのせいでその子たちに言えなかったから
茉梨大切な相手は、わたしの手で守りたいって……
風蘭立ち向かう力が欲しかった、か……
茉梨そう!そうなのっ!
茉梨(中学のころから星守だったいっちゃんたちを間近で見てて、わたしもって……)
風蘭ああ、わかる
風蘭アタシも、ダチは……仲間は自分の手で、守りたいからな
樹そうね……
樹あっ。だから茉梨、あのとき……
茉梨あのとき?
樹茉梨が、星守の力を得たときのこと、覚えてる?
茉梨あたりまえだよー。だって、それが、わたしのいちばんの思い出だもんっ
樹そうなのね……ふふっ
風蘭あー……イツキがイロウスに押しつぶされそうになった、あのときかー……
樹ふ、風蘭だって、アタマからかじられそうになってたじゃないっ!
風蘭うーむ……アレは、クツジョクだったなー……
樹その、私たち最大のピンチのときに、茉梨が星守になって……
樹3人で力を合わせて、勝つことができたのよねっ
茉梨(そのときすぐに、覚醒まではできなかったけど……まだ、できてないけど)
茉梨わたしでも、ふたりの役に立てた……それがうれしくて
茉梨だからね……いっちゃんとふーちゃんが、わたしの力の源なんだよっ
樹茉梨……
風蘭ばーかっ、てれるじゃんっ!
茉梨えっへへー、でもでもホントだもんっ♪
茉梨なんか……わたしのことばっかり話して、恥ずかしくなっちゃったよ―
茉梨お、おなかすかない!?なにか食べに行こうっ!
樹あ、茉梨っ
風蘭さーんせーいっ♪いこーぜ、イツキ。ハラ減ったぁ♪
樹まったくもう……
風蘭うーん……なんだかまだたりない……
樹ハンバーガー、まるっと2個も食べたのに?
風蘭やっぱ、バーガーよりチャーハン食いにいきゃよかったかなぁ
茉梨まぁまぁ……あ、ポテトならまだあるよ
風蘭ん、さんきゅー♪
風蘭あーむっ!もぐもぐ……こ、これはっ
茉梨明太チーズポテト~♪
風蘭この組み合わせもいいよなぁ……チャーハンでもいけそうだし
茉梨あははっ、研究熱心だねぇ
風蘭おうっ、アタシはいつかモノづくりで大成するんだからなっ♪
茉梨うんうん!楽しみにしてるね~♪
樹同じくらい、テスト勉強にも身を入れてほしいわねぇ……
風蘭さーてねっ
風蘭あっ、それよりさ、なんか、星守クラスにひと増えるんだろ?
茉梨えっ、そうなのっ!?
樹情報がはやいわね……まだ極秘あつかいなのに
茉梨だれだれっ?どんな子がくるのっ!?
樹私は、星守リーダーで生徒会長だからって、特別に教えてもらったの
樹だから……内緒よ?
茉梨うんっ!
風蘭さすが、話がはやいなっ♪
樹まったく……調子いいんだから
樹中学1年の子で、来月辺り普通科クラスから移ってくるんですって
風蘭へえ~、楽しみだな!
茉梨う、うん。そうだね……
樹茉梨?どうかした?
茉梨な、仲良く、なれるかなー……って
風蘭大丈夫だろ。なんだかんだ言って、マリは面倒見いいからな
茉梨そ、そうかな……?
樹そうね、誰にでも親切だし。きっと、その子もすぐなついてくれるわよ
茉梨だと、いいけど……
風蘭ヘーキだって!なんせ、リーダーがこの超コワ~いイツキだぜぇ?
風蘭マリなんか、超絶やさしいおねーさんで、ちびっこなんかイチコロだよっ♪
樹ふ・う・ら・ん~?なんですってぇ?
風蘭ほらほら、それそれ~。はははははっ!
樹もうっ!
風蘭でもま、若いのが入ってくるのは大歓迎だよな
茉梨ふーちゃん?
風蘭アタシらが星守でいられるのも、高3の今年までだろうからさ
風蘭後輩がきてくれるのは心強いよ
樹そうね……そろそろ進路のことも考えないといけないし
茉梨進路かぁ……うううー、なんか一気に現実感がー……
樹茉梨は?進路、どうするか考えているの?
茉梨えっ、わ、わたし……?
茉梨わたしの、進路……?
樹ええ。風蘭は今がよければそれでいい、とか言ってロクに考えてないし
風蘭いーじゃんかー。アタシは、明日できることは今日やらない主義なんだ
樹これだもの……
茉梨いっちゃんは?もう決めてるの?
樹え?わ、私は、ほら、本が好きだし……司書とかいいかなーって
茉梨ああ、そっか!ぴったりだね!
樹でしょ~、ずっと本にかこまれてすごすなんて最高よねぇ
樹で、茉梨は?
茉梨わたしも……ね、あるよ、なりたいもの
茉梨で、でも、まだナイショ!
樹えー、どうしてー?
茉梨も、もうちょっと自信持てたら、ね……あはは……
ウォォーーーォォン!
風蘭っ!?イロウスっ!?
風蘭行くぞ、マリ、イツキっ!
樹ええ!
茉梨うんっ!
樹数が多いわ……いい?1匹ずつおびき寄せて、確実に仕留めるわよっ!
風蘭まどろっこしいな、一気にいこうぜ!
樹あ、こら!待ちなさい、風蘭っ!ここは慎重に……
風蘭イツキは慎重すぎんだよっ!こーゆーときは、おもいっきし……
茉梨け、ケンカはダメだよう……
イロウス・ウォルフグォオオオオオッ!
樹気づかれた!?しょうがないわねっ!一気にいくわよっ!
風蘭そうこなくっちゃ♪
樹てやあぁぁぁぁっ!!!
風蘭いっけえぇぇぇっ!はぁぁぁぁっ!!!
茉梨(すごい……息、ピッタリ)
樹風蘭っ!一気に、連続スキル叩き込むわよっ!
風蘭おうっ!
茉梨(あ……)
茉梨(わたし……どうして、まだ覚醒できないんだろう)
茉梨(足、ひっぱりたくないのに)
茉梨ハァッ、ヤッ!タァァァ!……ハァハァハァ
風蘭これで決めるぞ、イツキ!
樹ええ、風蘭っ!でやぁぁぁぁ!!!
イロウス・ウォルフギャアアアアッ!
風蘭いっちょあがり~♪
樹ふう……片付いたわね
茉梨うん、すごかったね、ふたりともっ
茉梨(わたしも、ふたりの役に立たなきゃ……絶対に……)
茉梨はぁぁぁぁっ!
茉梨ハァハァハァハァ……
茉梨(いまの……感じ……?)
茉梨(神樹さま……力をください……)
茉梨(わたし……がんばってがんばって……ふたりみたいにっ)
茉梨(強くなるからっ!)
茉梨やぁぁぁぁっ!
茉梨もっともっと、やらなくちゃ……みんなを……ふたりを、守るために……!
戦う勇気
第97話 予兆
テスト期間最終日――
風蘭んーっ!終わったーぁ!
茉梨はぁぁ……もー、アタマ使い切ったよー
樹まったく、ふたりとも……ちゃんとテストできたんでしょうね?
茉梨うーん……なんとか?あはは……
風蘭よゆーよゆー、いつもどーり♪
樹それじゃ、ほとんどダメってことじゃないっ!風蘭っ!?
風蘭あっははははー!ダーイジョーブだって!化学は満点だから、きっと!
風蘭それよりハラ減ったー!なんか食って帰ろーぜ~♪
樹風蘭ーっ!
茉梨ま、まあまあ、落ち着いてー、いっちゃん
樹本当にもう……
樹でも、たしかにお腹がすいたわねぇ。ファミレスでも寄っていく?
風蘭おー、いいねー
樹茉梨も行くでしょ?
茉梨あ、わたしは……今日はやめとくー
樹え、どうして?
風蘭バイトは休みの日だよな?
茉梨うん……アルバイトはないんだけど
茉梨ちょっと、用事があって……
樹そうなの?じゃあ……仕方ないわね
茉梨うん……あ、わたし、こっちだから
茉梨ばいばい、また明日ねー
樹ええ。またね、茉梨
風蘭おー、じゃーなー♪
風蘭イツキとふたりならカレー屋にでもすっかー
樹あらっ、いいの?
茉梨……ハァ
茉梨よーしっ!
茉梨えいっ、やーっ、たぁっ!
茉梨(強く、ならなきゃ……)
茉梨(ふたりよりも、もっともっといっぱい特訓して……)
茉梨はぁー、やぁっ、せやぁっー!
イロウス・ウォルフグルルルル……
???きゃああああっ!
茉梨えっ!?イロウス……!?
茉梨(いっちゃんとふーちゃんに連絡……)
茉梨(ダメダメ、弱気になるなっ!)
女性い、いやぁぁぁっ、だ、だれか……たすけて……
茉梨(襲われてるっ!?)
茉梨たすけなきゃ
茉梨(ひ、ひとりだけど、ここはわたしがなんとかしなくちゃ……!)
茉梨大丈夫ですかっ!?
女性きゃっ!
茉梨あっ、お、おどろかせてごめんなさい
茉梨あの、わたし、星守ですっ
女性ほ、ほしもり……?
イロウス・ウォルフグルルルルッ
茉梨話はあとですっ、さがって!
女性は、はい……
茉梨やぁっ!!!
イロウス・ウォルフギュルルッ
茉梨くぅっ!
女性ああっ……
イロウス・ウォルフグルルゥ……
茉梨あっ、そっちに行ったらダメッ!
茉梨でやぁぁぁっ!
イロウス・ウォルフギャアアアアッ!
女性すごい……
茉梨ハァハァハァハァ……
茉梨(ダメだぁ……たった1匹だったのに、こんなに手こずってちゃ……)
茉梨あ……だ、大丈夫でしたかっ?
女性え、ええ……
ガクンッ
女性ああっ……足が……
茉梨あっ、あっ、つ、つかまってください、よかったら……
女性あ、ありがとう……ございます……
女性な、なんだか……たすかったと思ったら……気が、抜けてしまって
茉梨そうですよね……イロウスにおそわれたら誰でもそうなっちゃいますよ
茉梨でも、もう大丈夫ですから!
女性はい、でも……いつまた、あの怪物がでてくるかと思うと……
茉梨星守がいますから、安心してくださいっ
茉梨なんの心配も、いらないですよっ
女性そう……ですか……?あ、あの……
女性たすけてくださって、ありがとう……ございました
茉梨い、いえいえーっ
女性そ、それでは……
茉梨はい、お気をつけてー
茉梨ハァァ……よかったー
茉梨大丈夫大丈夫、だいじょうぶー……
茉梨(だよね……?)
女性たすけてくださって、ありがとう……ございました
茉梨たすけてくれてありがとう、かー……あはは……
茉梨(街のみんなを守れるのは、星守しかいない……)
茉梨(守るべきものがあるのに……)
茉梨(わたし、まだまだだ……)
茉梨(力がほしいよ)
茉梨(今回はなんとかひとりで勝てたけど、正直ギリギリだったもん)
茉梨(はやく、覚醒したいのに、なー……)
茉梨(どうしたら、いいんだろう?)
翌日――
シャッシャッシャッ……シャッシャ……
茉梨はぁ……
樹どうかしたの、茉梨?
茉梨はわぁっ!?
パラララ……カサッ
樹はい、落ちたわよ。今日はトランプなのね
茉梨あ、ありがとー、いっちゃん……
樹カードを切る手にいつもの勢いがないわよ
茉梨そ、そうかなー……?
樹なにかあった?
茉梨な、なにもないよっ!?
樹そう?ならいいけど……
樹なにかあるなら、相談してよ?
茉梨う、うん……
風蘭っはよー
茉梨あ、おはよー、ふーちゃん
樹相変わらず遅いわねぇ
風蘭遅刻はしてないんだから、いーだろ、別に
樹まったく……
風蘭あ、そーいやマリ、昨日大活躍だったって?
茉梨えっ?なんで、ふーちゃん……
風蘭さっき、理事長にばったり会って聞いた
茉梨そーなんだー……
樹そう、その話をしようと思ってきたのよ
樹すごいわね、茉梨。大きいのをひとりで倒しちゃうなんて
茉梨運がよかっただけだよー
茉梨だって、まだ覚醒できてないし……
風蘭それはさー、あんまり思いつめるなよー
樹そうよ!私たちもいるんだからっ
茉梨うん、そうだねー
茉梨あ。そういえば、あのとき……
樹気分転換に、ちょうどいい話があるわ!
樹お待ちかねの後輩星守がくるわよっ!
茉梨ほんとっ!?
風蘭おぉー、ついにっ!
樹ええ。でも茉梨、今なにかいいかけてた?
茉梨あ、ううんっ。なんでもない
茉梨(たすけた女のひとに、ありがとう、っていわれたことは……まあ、いっか)
風蘭でっ、いつからくるんだ?
樹今日からよ!
茉梨……え?
戦う勇気
第98話 中学1年……
明日葉この度、星守クラスへ入ることとなりました、中学1年の楠明日葉と申します
明日葉ご指導ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願いいたしますっ!
樹こちらこそ、よろしくね
樹えぇっと、星守全員の顔と名前は、おいおい覚えてもらうとして……
樹当面の特訓とかは、私と風蘭、茉梨でみることにするから
風蘭おっけー、任せろっ♪
風蘭御剣風蘭だ。よろしくな、明日葉
明日葉はいっ、よろしくお願いいたします
茉梨さ、酒出茉梨です。よろしくね、あしゅはちゃ……
茉梨うわあぁぁ……
風蘭おいおい、落ち着け、マリ
樹入ってくる明日葉より迎える茉梨が緊張してどうするの……
茉梨あ、あははー……そ、そうだよねー
茉梨えーっとー……あ、あーちゃん、でもいいかなー?
明日葉はいっ!もちろんですっ
茉梨えへへー……
樹どっちが後輩かわからないわね
茉梨えーっ、それはないよー、いっちゃん
風蘭明日葉って、あの楠道場のオジョーサマだろ?
明日葉お、お嬢さまかどうかはともかくですが……楠道場の師範は父です
樹たしか、武道のみならず、学問から茶道、華道、書道、あらゆる分野に長けた方よね?
明日葉はい、そうですっ!現当主の父で48代目となりますが
明日葉楠家の者は、代々星守を影となり支えることが定めだと教えられてきましたっ
明日葉ですが私は、母も元星守で、幼いころより常々私自身が星守になりたいと思いっ
明日葉精進に励み、かつ、晴れて神樹さまに星守として選ばれた暁には誰よりも強く正しく美しくあれるようにとっ
明日葉……ハッ
明日葉あ、ああ、あああ……
明日葉し、失礼しましたっ
樹ふふっ。熱意があるのはいいことよ
風蘭ああ。腑抜けより断然、鍛え甲斐があるからな
茉梨あーちゃん、お母さんも星守だったんだねー
明日葉は、はいっ
茉梨親子2代で星守だなんて、すごいなー
茉梨神樹さまに、愛されてるんだねー
明日葉そ、そうだと、うれしいのですが……
明日葉母は、強い星守だったと聞いていますので
明日葉少しでも近づけるように、がんばりたいと思っております!
茉梨そっかー
風蘭強い星守、ねぇ……じゃ、さっそく、お手並み拝見といこうかな
茉梨む、ムチャはダメだよー?
風蘭ふっふっふ
茉梨ふーちゃーん?
風蘭ついてこい、明日葉!特訓開始だっ!
明日葉はいっ!
風蘭明日葉、とりあえず、なんでもいいから型を見せてみろ
明日葉では……そうですね、薙刀でいかがでしょう?
樹あら、すごいじゃない
風蘭ほうほう……じゃあ、マリ。そこのホウキ取って
茉梨ホウキ?どうするの?
風蘭明日葉、薙刀の代わりはこれでいいか?
茉梨えええっ、ふ、ふーちゃん!?
明日葉充分です
茉梨い、いいのー?
明日葉はい、ありがとうございます
明日葉では……参りますっ!はぁぁぁぁっ!!!
茉梨わぁ、かっこいー
風蘭フム……筋はかなりイイな!
樹ええ、さすがねぇ
茉梨これ……もう、師範でも通用するでしょー?
明日葉いえ。まだまだだと、常日頃、父や兄によく言われています
茉梨れ、レベルが違うんじゃないかなー
風蘭たしかに、対人なら即戦力で行けそうだけどな
樹相手はイロウスですものね……
風蘭とりあえず……アタシらでお手本を見せてやるか
樹ええ。茉梨、やる?
茉梨あ、それより、いっちゃんとふーちゃんで、あれ見せてあげてよー
風蘭あれって、これか?
茉梨そうそう!
明日葉おおお……っ!
樹そうね、じゃあ……
風蘭行くぞっ、イツキ!
樹いつでもいいわよっ!
茉梨あーちゃん、ちょっと下がろうか
明日葉は、はいっ
風蘭はあぁああっ!
樹やぁっ!ハッ!てやっー!
明日葉わああ!わあああ!!わあああああっ!!!
明日葉かっこいい……はわぁぁぁ
茉梨ふふふー♪ね、すごいよね、いっちゃんとふーちゃん
明日葉はいっ!素晴らしいですっ!
明日葉さすがは『最強の星守』ですね!
茉梨……うん。ほんと、あこがれちゃうんだよね―
明日葉茉梨先輩も、あこがれておられるんですか?
茉梨うん。だって星守、自慢のふたりだもん
明日葉なるほど……ですが、私にとっては
明日葉茉梨先輩もあこがれですから……
茉梨あーちゃん……
茉梨ありがとー……えへへ……
茉梨(期待に添えるように、先輩星守として、しっかりがんばらなきゃだなー)
樹今日はまず、星守の歴史から教えてあげるわね。とはいっても……
樹楠家の明日葉なら、この辺は私たちより詳しいのかしら?
明日葉ど、どうでしょうか。一通りのことは、母からも聞き及んではおりますが……
茉梨あーちゃんちって、千導院さんとか水鏡さんちみたいに、ずーっと昔から星守を支えてきてくれた古い家系だもんねー
風蘭カクシキあって、シキタリとかキビシそーだもんなぁ。アタシにゃツトマンないな
明日葉そ、そうでしょうか……厳しいと感じたことは、あまり、ありませんが……
樹さすがね。明日葉が、中1でこれだけシッカリしているわけだわ
樹……風蘭、少し見習いなさい?
風蘭あっはっは、ムリムリー♪
樹これだもの……
樹だいたいあなたはねぇ、出会ったときからいい加減すぎるのよ
樹1年以上も星守になったことを誰にも言わないで
樹ひとりで、あぶなっかしく戦っていたりして!
明日葉い、1年以上も……!?
風蘭そんな古い話、いまさら持ち出すなよ
樹仕方ないでしょ、思い出すたびハラが立つんだからっ!
風蘭あーもー、相変わらずクチうるせーなぁ
明日葉(お、おふたりがケンカをっ!?)
わたわたわたわたっ
茉梨あははー、あーちゃん、大丈夫だよー
明日葉で、ですが……
茉梨いっちゃんいっちゃん、おちついてー……
明日葉(も、もしかして……実はこのおふたり、仲がお悪いのかしら……?)
茉梨ほらー、あーちゃんがびっくりしてるよ……引いちゃった?
明日葉い、いえ……そのようなことは
茉梨ふふっ、誤解しないでね。いっちゃんとふーちゃん、仲はすっごくいいんだよー
茉梨いつものじゃれ合いだからー、これ
明日葉そ、そうなのですね……
明日葉(おふたりはいつも、このようなじゃれ合いをされている……と)
カキカキカキカキ……
茉梨ほらほら、ふたりとも。そのくらいにしておかないと、ぜんぶメモられちゃうよー
樹コホン。そ、そうね。じゃあ先に進めるわよ
明日葉はい、よろしくお願いいたしますっ
風蘭明日葉ー、そーんな真面目にメモなんて取らなくて大丈夫だぞー
明日葉は、あ、いえ、しかし……
樹いいのよ、明日葉。そのまましっかり心にも書き留めてちょうだい
明日葉は、はい、あの……
茉梨あはは。真逆のアドバイスであーちゃんが困ってるよ、ふたりともー
茉梨どっちでも、あーちゃんの思った通りでいいんだよー
明日葉わ、わかりました……
茉梨これから一緒にがんばっていこうね
明日葉はいっ!
戦う勇気
第99話 紫色に染まる空
明日葉やっ!はっ!たぁーっ!
樹いいわよ、その調子っ!
風蘭よし、明日葉っ、そこで一気に3段蹴りだっ!
明日葉ふぇっ!?
茉梨あははー、ふーちゃん、すっごいムチャぶりー!
風蘭イケるイケる!なんなら回し蹴りでもいーぞぉ!
樹風蘭っ!ムチャ言わないのっ!
明日葉ひゃああっ
ドサッ……
茉梨だ、大丈夫ー?あーちゃん……
明日葉は、はいっ!問題ありませんっ!
茉梨おおー、えらいえらい
風蘭いやー、しかし。明日葉はホントにカンがイイな!
明日葉ありがとうございますっ!
樹ふふっ。そのうちものすごく強くなりそうね
風蘭ああ。あっという間に歴代『最強の星守』になっちまうんじゃないか?
明日葉と、とんでもないですっ!
茉梨でもほんと、あーちゃん、すっごく覚えがいいもんねー
茉梨(わたしも、もっと特訓しないと……あーちゃんに抜かされちゃう)
茉梨(むっ!負けないように、がんばろうっ)
ビーッビーッビーッ!
風蘭イロウスかっ!
樹いくわよ、みんなっ!
茉梨うんっ!
明日葉は、はいっ
明日葉(うわあぁあぁぁっ……)
茉梨あー、青ゲルの大量発生だー……
風蘭ワンコもけっこーいるなぁ
樹ロウガよ。こんなにいっぱい、どうしたのかしらね……
風蘭イツキ、一気にふっとばそうぜ
樹そうね……これ以上多くなると厄介だものね
茉梨…………っ
明日葉ま、茉梨先輩?どうかされましたか?
茉梨な、なんでもないよー
風蘭明日葉はムリはすんなよ!
茉梨あ。あーちゃんは、わたしに任せて
樹お願いね、茉梨
茉梨うんっ!あーちゃん、わたしたちは、1匹ずつ確実に倒していこう
明日葉はははははいっ!よろしくお願いしますっ
風蘭はーっ!やっ!てやーっ!!!
樹はあぁああっ!!!
明日葉(す、すごい……おふたりで、あっという間にイロウスたちを……)
茉梨(……?なんだろう……)
明日葉茉梨先輩?
茉梨あーちゃん、気をつけて……なんか、ヤな感じがする
明日葉イヤな感じ……ですか?
茉梨うん……なんなんだろう、空が……
明日葉あっ、本当です、なんだか変な色になっていますね……
イロウス・ヴァルガンドグオオオォォォォ!!!
風蘭な、なんだっ!?
樹今のはっ!?
茉梨……なにかくる
茉梨ああっ!あれっ!!!
イロウス・ヴァルガンドグオオオォォォォ!!!
イロウス・ヴァルガンドグオオオォォォォ!!!
風蘭な、なんだ、アレは……?
樹い、イロウス……よね?
茉梨あんな大きいの、今まで見たことない
明日葉けほっ、けほ、こほっ
茉梨けほっ……こ、この、ヘンな空気、なんなんだろうね?
風蘭だいぶヨドんでるな
樹大丈夫、茉梨、明日葉?
茉梨う、うん……なんか、息苦しいけど
明日葉だ、だい、じょうぶ……けほっ、です
茉梨いっちゃんとふーちゃんは、なんともないの?
風蘭ああ。ヤ~な感じはするけどな
樹息苦しいとか、動けないとかはないわね
樹みんなも、平気?
ほかの星守たちはい、でも……
ほかの星守たちなんだか、身体に力がはいらなくて……
樹ムリはしないで!まずはみんな、自分の身の安全を図りなさい!
ほかの星守たちは、はいっ!
茉梨あっ、人が……倒れてる
明日葉あちらにも……!
茉梨大丈夫ですかっ?
茉梨(息はある……けど)
茉梨(星守じゃない人は、この空気に耐性がないんだ……)
風蘭まともに動けるのは、アタシとイツキだけか?
樹そうみたいね……どういうことなの?
茉梨(もしかして、これって……)
茉梨(星守の力の強さによったりするのかな?)
風蘭……チッ。アイツが親玉かぁ?
風蘭ちびっこいヤツらも活性化してやがるな
明日葉も、もしかしたら……けほっ
樹なあに、明日葉?心当たりがあるの?
明日葉家の蔵にあった古い文献で、『瘴気』というものを出す強力なイロウスが現れた、と
明日葉書かれていたものを読んだことがあります。もしかしたら、これが……
樹その『瘴気』だというの?
明日葉た、確かとはいえませんが、おそらく……
明日葉『強い』星守だけが、その中にあって唯一イロウスに対抗できた、と
明日葉その本には、書かれていました、けほっ
茉梨(……やっぱり)
樹神樹さまの御加護というわけね?
風蘭なら、アタシらでアイツを倒せるはずだな?
樹そうであってほしいわね
イロウス・ヴァルガンドグオオオォォォォ!!!
風蘭アタシらの手で、片付けてやるっ!
風蘭はあああっ!!!
樹やっ!はぁっ!せやーっ!!!
イロウス・ヴァルガンドグオオオォォォォ!!!
茉梨(いっちゃんとふーちゃんが、あの大型イロウスに専念できるように……)
茉梨う、動ける子は、街の人たちが戦闘の巻き添えにならないように、みてあげて!
ほかの星守たちわ、わかりました……
茉梨あーちゃん、大丈夫?
明日葉はい……なんとか……
茉梨(わたしとあーちゃんはまだ、なんとか戦えるくらい動ける、かな……)
茉梨あーちゃん、ムリはしなくていいから、小さいのやっつけていこう
明日葉はいっ!
茉梨(少しでも、ふたりの負担を減らさなきゃ)
茉梨やあーっ!
明日葉はああっ!!!
茉梨ハァハァハァ……
茉梨(あーちゃん、実戦経験もまだそんなに多くないのに)
茉梨(すごい、即戦力だ……)
明日葉ハァッハァッハァッ……
茉梨(でも……さすがに、これは……数が多すぎる)
茉梨(なんとか……どうにかできないかな……)
茉梨ハァハァハァ……き、キリがないよー……
茉梨(あっ……あっちにもいっぱいいる)
イロウス・ロウガグルルルル
茉梨ハァハァハァ……こっちはまだ瘴気が薄い……
茉梨えいっ!たぁーっ!
茉梨(でも、小さいヤツも、いつもより強い気がする)
茉梨あっ!あーちゃんはっ!?
茉梨(いない……っていうか、わたしのほうが)
茉梨(イロウスを追ってるうちに、みんなとはぐれちゃったんだ)
茉梨(あーちゃん、大丈夫かな……はやく戻らないと)
???きゃああああっ!!!
茉梨えっ!?今のは……
イロウス・ロウガグワアアアッ!
女性いやっ、こ、こないで……
茉梨あ、あのひと……!
茉梨(イロウスに襲われてるっ!?たすけなきゃっ!)
戦う勇気
第100話 戦う勇気
イロウス・ロウガグワアアアッ!
女性いやっ、こないで……
女性あっちへいってください……ブンブンブンッ!
茉梨(き、木の枝で……立ち向かってる)
茉梨(イロウス相手に……こわいのガマンして……)
茉梨(星守じゃない、ふつうのひとなのに、がんばってるんだ)
イロウス・ロウガグルルルルルルッ!
女性きゃああああっ
茉梨(危ないっ!!!)
茉梨はああああっ!!!
イロウス・ロウガギャウンッ
茉梨ハァハァハァ……だ、大丈夫でしたか?
女性は、はい……
女性あ、あなたは……
茉梨こ、こんにちは……
女性このあいだの……
茉梨はいっ、酒出茉梨っていいます
女性酒出さん……?
女性あの、ありがとうございました……たすけて、いただいて……
茉梨い、いえっ!それが、星守のなすべきことですので!
女性いいえ……も、もし……
女性あなたが、来てくださっていなければ、私……ぐすっ
茉梨あっ、あっ、もう大丈夫ですからっ、な、泣かないでー……
女性ごめんなさい……気が……抜けてしまって……
ペタンッ
女性あ、足に……チカラが入らなくて……
茉梨だ、大丈夫ですか?
女性は、はい……なんとか……あなたは、お強いのですね……
茉梨えっ!?
茉梨わ、わたしは……まだまだで……
女性そう、なのですか……?
女性あんな怪物を、倒してしまえるのに……?
茉梨そ、それは……あはは……
女性私は……こわくてこわくて……今もまだ、手が震えていて……
茉梨イロウスなんかに会っちゃったら、怖くて当たり前ですよー
茉梨でも、あなただってすごい、がんばって戦ってたじゃないですか!
女性……え?で、でも……
女性わ、私は……木の棒を、ただ振り回していただけですし……
茉梨それでも!星守じゃないふつうのひとが、戦おうとしてくれてっ、
茉梨わたし、すっごく、うれしかったんです!
イロウス・ロウガグオオォォオオォン!
茉梨ハッ!あっちはっ
茉梨も、戻らなきゃ……
女性い、行くんですか……?なんだか、向こうは変な色の空なのに……
茉梨でも、あっちで仲間たちが戦ってるんです
茉梨すごく大きな……今までみたこともないくらい大きな敵と
女性そ、そんな……
茉梨あなたも、気をつけてくださいね。ここはまだ、危ないから
女性は、はい……あのっ……
茉梨え?
女性大丈夫……なんですよね?
女性星守さんが、いてくださるから……
茉梨が、がんばりますっ!
茉梨だから……安心していてください!
女性…………はい
タッタッタッタッタ!
茉梨(あ、そういえばあのひと……名前、聞きそびれちゃったな)
茉梨(まあ、いっか。もう会うこともないだろうし……)
茉梨(それより……はやくみんなと合流しないと)
茉梨あーちゃん、どこー!?
明日葉ま、茉梨先輩……ご無事でしたか!
茉梨ごめんねっ!ちょっと、深追いしちゃってた!
明日葉いえ……こちらも、あと少しですっ
明日葉ですが……樹先輩たちのほうが……
茉梨やっぱり、あのイロウス、しぶといんだ……
風蘭ハァハァハァ……
樹クッ……
茉梨(いっちゃんとふーちゃんが、あんなに苦戦してるなんて)
茉梨あーちゃんっ、こっちもがんばって、小さいの片付けようっ
明日葉はいっ!でやぁああぁっ!
茉梨やあああっ!!!
風蘭行くぞイツキっ!これが最後だっ!
イロウス・ヴァルガンドグオォオオォォォオ!!!
風蘭全力、ぶっ放せえぇぇぇ!!!
樹はああぁぁあぁぁっ!!!
イロウス・ヴァルガンドグアァアァァァ!!!
茉梨や、やったー……
風蘭ハァハァハァハァ、ハハッ、ザマーミロ
樹ハァハァ……風蘭、それじゃ、あなたが悪者っぽいわよ……
風蘭るっせ!はー……つっかれたーぁぁぁ!
明日葉すごい、すごいですっ!樹先輩っ!!風蘭先輩っ!!!
明日葉あんな大きなのを、倒してしまわれるなんてっ!!!
樹ふふっ。ありがとう、明日葉
茉梨やったね、いっちゃん。おつかれー、ふーちゃん
風蘭おーう!へへへっ
樹茉梨も、お疲れさま
茉梨ううん、わたしはそんな……
樹ほかの子たちは?みんな、無事?
ほかの星守たちはーい、なんとかー
樹よかった。ああ、変な空気も晴れたみたいね
牡丹樹、風蘭、茉梨、明日葉。よくやってくれました
牡丹あなたがたの活躍により、人々が瘴気に触れた時間も比較的短くて済みました
牡丹おかげで、命を落とした方はいなかったようです
樹それはなによりです!よかった……
風蘭アタシらが苦労した甲斐があったな!
茉梨理事長……やっぱり、あれは『瘴気』というものだったんですか?
牡丹ええ、そうです。星守以外、その中でまともに動けることはないという、
牡丹人体には毒となる存在です
茉梨(そんなものを持ったイロウスが出てきちゃったんだ……)
牡丹そうそう、街のみなさんからも、続々と賞賛の声が寄せられていますよ
樹ありがたいですけれど……今回は、なんとかといった感じでしたのに
風蘭ま、慣れりゃ、もうちょっと楽に倒せるようになる!
風蘭とは思うけどな……できれば、もうゴメンだけどっ
茉梨うん、あんなの、もう出ないといいね
牡丹そうあってほしいところではありますが……
樹なにか、気になることでもあるのですか……?
牡丹ええ。このところ、瘴気と思われる現象が各地で報告されているのです
風蘭うげっ……
牡丹予断は許されない状況にあるとみていいでしょう
茉梨そんな……あんなのが、各地でなんて……
牡丹本当なら、もっとゆっくり実戦慣れしてほしいところなのですが……
牡丹そうも言っていられないようです。明日葉
明日葉はいっ!私は、大丈夫です
明日葉幼少のころより、母からも星守の心構えを叩き込まれてきましたので
牡丹そう……頼もしい限りですね
牡丹(確かに……明日葉の母なら、そのくらいやるわね)
茉梨(でも、あーちゃん……わたしが戻ったとき、ひとりでちょっとふるえてた)
茉梨(わたしが、ちゃんとそばにいて、守らなきゃいけなかったのに)
茉梨(しっかりしないと……)
茉梨(今回だって、けっきょく、あの大型イロウスには)
茉梨(わたしは、何もできなかったし……)
茉梨(もっと、もっともっと、がんばろう……)
茉梨(この先、どんなに強いイロウスが出てきてもわたしがみんなを守れるように)
樹茉梨?どうかしたの?
茉梨ん?ううん、なんでもないよっ!
風蘭ハラ減ったんだろ、メシ食ってこーぜ
樹それはあなたでしょ、風蘭……
茉梨そうだね、おなかすいちゃったし……みんなで食べて帰ろう!
茉梨(ふたりに、守られてばかりじゃダメだから……)
茉梨(わたしがまず、強くならなきゃ!)
風蘭肉だ肉っ!にくガッツリくいてーなー!
樹えー、私、カレーがいいなぁ。明日葉は?
明日葉わ、私は、お蕎麦が……
風蘭そばぁ!?ダメダメ!ガッツリだガッツリ!
明日葉ふえええっ……
茉梨じゃあ、みんなでファミレスでも行こー♪
茉梨(だれよりも、なによりも、強く……)
まだ見ぬ脅威
第101話 みんなの勇気
女子アナ次のニュースです。世界各地で『瘴気』を出すイロウスの出現が報告され――
牡丹残念ですが、もう世間一般に隠しようのないところまで、被害が広がってしまっています
牡丹今後、いっそう星守への要請は増えることでしょう
風蘭まっかせといてよ、理事長♪そりゃ、最初はちょーっと苦労したけどさ
風蘭こないだも倒せたし、アタシらだってガクシューするから、大丈夫だって♪
樹そうね……でも、ますます特訓にはげまないと
明日葉はいっ、私もがんばりますっ!
茉梨(でも……大丈夫なのかな)
茉梨(なにか、今までにない重大なことが起こってるんじゃ……)
茉梨(なんだか、このあいだから心がザワザワする……気のせい、なのかな……)
風蘭よっし、景気づけになんかうまいモン食って帰ろーぜ~♪
樹いいわねっ♪やっぱりカレーかなぁ
明日葉わ、私は、お蕎麦が……
風蘭ほらほら、マリ、行くぞっ
茉梨う、うん……
明日葉ま、茉梨先輩……なんだか、申し訳ありません。送っていただいてしまい……
茉梨あはは、気にしないでいいよー。ひとりで帰すのも心配だし
明日葉こ、これでも、一応、私も星守なのですが……
茉梨うんうん。でもほら、せっかく帰り道が一緒だしねー
茉梨仲良く帰ろー♪
明日葉は、はい……ありがとうございます
明日葉あ、あのぉ……
明日葉前から、お聞きしてみたいと思っていたのですが……
茉梨うん、なにー?
明日葉先輩がたは、いつからのお付き合いなのですか?
茉梨えっ、わたしと、いっちゃんとふーちゃん?
明日葉はいっ!みなさん、本当にとても仲がよろしいので……
茉梨んーっと、わたしといっちゃんは中学も神樹ヶ峰でー
茉梨ふーちゃんは、高校からかな
明日葉そうだったのですか!?ずっと前からなのかと思っていました
茉梨うん。星守になったのは、わたしがいちばん最後で……
茉梨3人で仲良くなったのは、わたしが星守クラスに入ってからだよー
明日葉星守がつないだ絆なのですね!わ、わたしも、いつか……
明日葉先輩がたのように心許せる友達ができるといいのですが
茉梨できるよ、きっと
茉梨だって、わたしたちも最初から仲良かったわけじゃないし
明日葉そうなのですかっ!?
茉梨うん。いっちゃんとふーちゃんは、会えばケンカばっかりしてた
茉梨それを、わたしがまあまあ、ってなだめて……
明日葉今でも、あまり変わっていないようですが……
茉梨あはは、そうかもー
茉梨(でも……ふたりが大事、っていう気持ちは)
茉梨(前よりずっと、ずっとずーっと、強くなってる……)
茉梨(ふたりと知り合って、わたし、ひとりじゃなくなったから……)
茉梨(遠くで見てたふたりはとってもキラキラでまぶしくて……)
茉梨(少しでも近づきたくて。そばにいるとわたしまで強くなれる気がした)
茉梨(それに、あぶない戦いをしてきたふたりを、わたしが『守りたい』って、思うようになった)
茉梨(いっちゃんとふーちゃんが、大切な、友達になったから)
茉梨あっ、あーちゃんち、もうそこだよね
明日葉はい。ありがとうございました。では……私はこれで
茉梨うん、ばいばい、また明日ねー
茉梨……ふぅ
茉梨さ。わたしも帰ろーっと
???あ、あのぅ……酒出さん……?
茉梨あっ!あなたは……
女性こ、こんばんは……
茉梨こんばんはー!またお会いできましたねっ
茉梨えーっと……
女性あっ、ごめんなさい。私ったら、まだ名乗っていませんでしたね
七嶋葵葵です。七嶋葵……
茉梨葵さん……今日は、お買い物ですか?
七嶋葵あの……ええ。それで、姿を見かけて、思わず声をかけてしまったのですけど……
七嶋葵ご、ご迷惑ではなかったですか……?
茉梨そ、そんなー。迷惑だなんて、全然っ!むしろ、うれしいです
七嶋葵ほっ……よかったです
七嶋葵何度も助けていただいたのに、きちんとお礼も言えずじまいで……
茉梨お、お礼だなんて……
七嶋葵ずっと、気になっていたんです
七嶋葵今日、お会いできてよかった
茉梨わたしも……葵さんがご無事で、よかったです
七嶋葵あ、あのっ
茉梨はい?
七嶋葵よ、よかったら、ですけど、お礼に、今度ゆっくり……
ウォォォーーーン!
茉梨イロウスっ!?
七嶋葵あ、あそこ、ひとが……襲われていますっ
茉梨助けなきゃっ!葵さんは、はやく安全な場所へ!
タッタッタッタッタ
茉梨やああああっ!!!
イロウス・ロウガギャウンッ!
茉梨だ、大丈夫ですかっ!?みなさん、今のうちに逃げてっ!
街の人たちは、はい……
七嶋葵ハァハァハァハァ……
茉梨……って、え、あ、葵さんっ!?
茉梨どうして……?安全な場所へっていったのに……
七嶋葵わ、私も、なにか、できないかなって……
茉梨む、ムチャですっ!イロウスが相手なんですよっ!
七嶋葵それでもっ!私も、何かしなきゃって……
茉梨え……?
七嶋葵あなたに……酒出さんに何度も助けられて、守られて……
七嶋葵けれど、それじゃあ、守られてるだけでは、ダメって、気づいたの!
茉梨葵さん……
七嶋葵私たちだって、戦わなきゃって……
七嶋葵星守にばかり、甘えるのは、ダメでしょう?
茉梨あ、甘えるなんて……
七嶋葵き、きなさい、イロウスっ!!!
七嶋葵何度も襲われたんだから、もう、怖くなんてないわっ!
茉梨(葵さん……ふるえてる……)
茉梨(ホントはこわいのに、勇気を振り絞ってくれてるんだ……)
街の人たちそ、そうよっ!私たちだってっ
茉梨えっ?
街の人たちやられっぱなしなんていやよっ!
街の人たちえいっ!えいっ!!!
茉梨(い、イロウスに、石を……)
イロウス・ロウガグルルルルッ!
七嶋葵私たちにだって、できることはあるはずっ!!!
茉梨み、みなさん……
茉梨(イロウスに、対抗するチカラを持たないひとたちが)
茉梨(戦う勇気を持ってくれてる……)
茉梨(わたしもがんばらなくちゃ!)
イロウス・ロウガグルルルルッ
七嶋葵ま、また……イロウス……
茉梨葵さんは逃げてください!
七嶋葵で、でも……
茉梨はあぁああっ!
ザシュザシュッ!
茉梨ハァハァハァ……
茉梨(やっぱり……小さいのも、前より強くなってる……)
茉梨(だからこそ、わたしが、強くならないと……!)
イロウス・ワイルドウォルフウォオォォオーーン!!!
七嶋葵ま、またっ!?
茉梨あんなに大きいヤツまでっ!?
茉梨そんな……ハァハァハァ
ザシュッ!
茉梨(こんなに次々きたら……キリがない……)
茉梨ど、どうしたら……
七嶋葵(酒出さん……)
女の子の声きゃああああっ!!!
茉梨えっ!?あ、あっちにもイロウスっ!?
茉梨(でも、目の前のこいつをどうにかしないと……)
七嶋葵さ、酒出さんっ
茉梨あ、葵さん?
七嶋葵わ、私が……こいつは私が、なんとか引きつけておきますっ
茉梨ええっ!?そ、そんな、ムチャですっ!
七嶋葵でもっ、あなたが行かないと、子どもたちが……!
茉梨けど……
七嶋葵た、倒すのはムリだってわかってます。だからせめて、時間を稼ぎますっ
七嶋葵早くっ!あの子たちのほうへ!!!
七嶋葵酒出さんっ!今、助けられるのはあなたしかいないんですっ!
茉梨…………っ
七嶋葵はやくっ!!!
茉梨で、でも……
女の子の声うわぁぁぁんっ
茉梨(……っ)
茉梨わかりましたっ!すぐ戻りますからっ!!!
タッタッタッタッタ
まだ見ぬ脅威
第102話 まだ見ぬ脅威
イロウス・ロウガウォーーーーン!
女の子たちこ、こわいようっ、ふえぇぇんっ
タッタッタッタッタ
茉梨はああああっ!!!
ザシュッ!
イロウス・ロウガグルルッ!
茉梨みんな、もう、大丈夫だよ!
女の子たちおねえちゃん……?
茉梨わたしが、イロウスを抑えるから!
茉梨みんなは、今のうちに逃げてっ
女の子たちは、はいっ
パタパタパタパタ……
茉梨(……よーし、あの子たちはあっちに逃げたから……)
茉梨(わたしは、こいつらをできるだけ引きつけて……)
イロウス・ロウガグルルルルッ
茉梨(数が多いけど……なんとかしてみせるっ)
茉梨やあぁぁぁっ!!!
茉梨ハァハァハァハァ……
茉梨(思った以上に、時間をかけちゃってる……)
茉梨(一刻も早く、葵さんのところに戻らないといけないのにっ)
茉梨(これで……最後っ!)
茉梨てやぁぁぁっ!!!
イロウス・ロウガギャウンッ!!!
茉梨ハァハァ……や、やっと……倒せた……
ズシンッ!ガラガラガラッ……
葵きゃあああっ!!!
茉梨ハッ!葵さんっ!?
茉梨そんな……ウソ……でしょ……?
茉梨葵さん!葵さんっ!!!
茉梨お願い、返事してっ!!!
タタタッ
茉梨葵さんっ!
茉梨葵さんっ!!!
茉梨葵さぁーーーんっ!!!
数日後――
茉梨(けっきょく……あのあと、葵さんは見つからなかった……)
葵酒出さんっ!今、助けられるのはあなたしかいないんですっ!
茉梨わかりましたっ!すぐ戻りますからっ!!!
茉梨(すぐ、って言ったのに……)
茉梨(わたしが、もっと早くあのイロウスを倒せてたら……)
茉梨(もっともっと早く、葵さんのもとに戻れていれば……)
風蘭マリ、どうしたんだろうな?
樹このあいだからずっと、落ち込んでいるわよね……
風蘭なにかあったのか?イロウスには勝ったんだろ?
樹ええ……助けた女の子のお母さんたちからは、丁寧なお礼を言われたって……
風蘭じゃあ、他に何かあったのか……?
樹わからないわ……だって
樹(話してくれないんだもの、茉梨……)
茉梨はぁ……
風蘭あーもー、マリっ!なんなんだよっ!!!
茉梨ふ、ふーちゃん?
樹ちょっと、風蘭……
風蘭なんだよ、イツキだっておんなじ考えじゃん
樹それは……そうだけど
風蘭ってことで、マリ!話せよ!ダチだろ!?
茉梨え、っと……
樹風蘭の言う通りよ、茉梨。悩みがあるのなら、話してほしいな
茉梨いっちゃん……
茉梨(でも……)
茉梨ありがとー、ふたりとも。えへへ、大丈夫だよー
茉梨(話せば、きっと……いっちゃんもふーちゃんも、なぐさめてくれる)
茉梨(でも、わたしは……甘やかされちゃダメなんだ……)
茉梨(あのとき、葵さんを助けられなかったのは、わたしが弱いせい……)
茉梨(これは……わたしが自分で背負わないと……)
茉梨(今のままじゃ……)
風蘭ムッ……
茉梨あっ……
樹茉梨?
茉梨(イロウスたちはどんどん強くなってる……そんな状況で)
茉梨(もし、もしも、いっちゃんやふーちゃんが、戦えなくなったとしたら……?)
茉梨(弱いままじゃ、わたしなにもできない……)
茉梨(誰よりも大切な、ふたりを、守れない……)
茉梨(そんなの、いやだ……)
樹ふぅ……しかたないわね
樹しばらくそっとしておきましょう、風蘭
風蘭なんでだよ、イツキ!話はまだ……
樹今は、何をいってもダメよ……
風蘭でもっ!
樹茉梨……なにがあったかは知らないけれど
樹私たちはあなたのことを信じているわ
茉梨いっちゃん……
風蘭……ったく、しょうがねぇなぁ
風蘭イツキの言う通りだぞ
風蘭だって、アタシたちは3人そろって『最強の星守』だからな!
茉梨ふーちゃん……
茉梨あ、ありがとー……
茉梨(やっぱり、ふたりは強い……心も……)
茉梨(そして、優しい……)
茉梨(わたしは……?ほんとに……強く、なれるの……?)
茉梨(ふたりを守れるくらいまで……)
茉梨ふぅ……
牡丹茉梨
茉梨あ……理事長
牡丹まだ、特訓をがんばっているのですか?
茉梨あ……
茉梨(もう、こんな時間だったんだ……)
牡丹先日から、思い悩んでいるようですね
茉梨えっと……その……
牡丹わかっているとは思いますが
牡丹茉梨。あなたが想うように、ふたりもあなたを想っている
牡丹それを、忘れてはいけませんよ
茉梨理事長……
茉梨あの……
茉梨わたし……なにが足りないんでしょう?
牡丹…………
茉梨星守として……特訓も、がんばっているつもりですっ
茉梨なのに、ふたりみたいに強くなれなくて……
茉梨どうすれば……これ以上、どうしたらいいんでしょうっ!?
茉梨守りたいもの、大切なものもこの手で守れない……
茉梨そんなの、星守でいる意味、あるんでしょうか……?
牡丹力のない者を、神樹は選びはしません
茉梨でもっ……わたしは、いまだに覚醒できていません……
茉梨(やっぱりわたしが、弱いから……?)
牡丹いいえ
茉梨……え?理事長……?
牡丹あなたには、もうその力は備わっています
茉梨そ、それなら……どうして……
牡丹真の力を発揮できないのは、茉梨、あなたがその鍵に気づけていないからです
茉梨……かぎ?ですか……?
牡丹そう。その鍵は、あなた自身の中にある
茉梨それって……?
キェーーーーーェェェッ!
牡丹っ!?これは……
茉梨な、なに……?
牡丹どうやら、イロウスのようですね
牡丹茉梨、すぐに向かってください
茉梨……っ!
牡丹すぐに、みんなも向かわせますが……
牡丹充分に気をつけて。今までのものとは、少し、様子が違うようです
茉梨(……え?)
まだ見ぬ脅威
第103話 未知のイロウス
茉梨あ、いっちゃん、ふーちゃん
樹みんなそろってるみたいね
風蘭なんか、でっかいのが出たって?
茉梨うん。理事長はね、瘴気のイロウスの大量発生かもって……
風蘭うげっ……マジか
樹冗談じゃないわ
茉梨それでね、この先の山が発生源じゃないかって……
風蘭つまり、ヤツらのアジトってわけか
風蘭ココを潰せば、イッパツってことだな!
茉梨で、でも……なんか、ね、いつもと違うって……
樹確かに、瘴気が今までにないほど濃いものね
樹とにかく、いつまでもここでこうしてるわけにも行かないわ
風蘭よしっ!気を引き締めて、一気に叩こうぜ!
明日葉はいっ!
茉梨……大丈夫かな。できるのかな、わたしたちに……
風蘭…………
樹…………
明日葉…………
ほかの星守たち…………
ウォーーーーーーーン!!!
樹と、とにかく、やるしかないのよ!
風蘭ああ。アタシら以外にはできないんだ
風蘭大丈夫だって!なんとかなる!
風蘭だって、今までもそうだったろ?
茉梨……そう、だよね
茉梨(きっと、ふーちゃんやいっちゃんとなら……)
風蘭行くぞっ!!!
樹ええっ!
茉梨……っ
茉梨う、うそ……これって……
風蘭うげっ、何だこの数……
樹こんなにたくさんのイロウス、いったいどこから……
明日葉瘴気も、とても濃くなっていますね
茉梨あ、あれ、見てっ!
茉梨あそこ!瘴気のイロウスがいる!しかも……
茉梨大きい……多分、今まで見た中でいちばん……
明日葉す、すみません……この瘴気の中では……
明日葉私たちは、これ以上近づくと、まともに動けそうにありません……
樹そう……ムリはしないで。各自、できることをやりましょう
樹茉梨は、どう?
茉梨わ、わたしは……まだ、大丈夫……だけど……
樹じゃあ、一緒に残ってもらえるわね
茉梨う、うん……
風蘭そういや、あっちにピクニック・ロードがなかったか?
明日葉あります……!ハイキングにちょうどいいコースだと、有名で……
風蘭ってことは、まだひとが残ってる可能性もあるよな……?
樹そうね……明日葉。みんなで手分けして、逃げ遅れたひとがいないか確認してちょうだい
明日葉わ、わかりましたっ、行ってまいりますっ
タッタッタッタッタ
茉梨(これを……この数のイロウスを、たった3人で?)
風蘭大丈夫だって!ただ数が多いだけだっ!
茉梨ふーちゃん……
茉梨(でも……もし、もしも、葵さんのときみたいになっちゃったら……)
グォォォォォーン!!!
茉梨……っ
明日葉だれか、いますかっ!?
???きゃああああっ!!!
明日葉っ!大丈夫ですかっ!?
イロウス・ロウガグルルルルッ
幼い昴ひぃっ!!!
明日葉あぶないっ!はああああっ!!!
ザシュッ!
幼い昴わあぁっ!す、すごい……
明日葉もう大丈夫。ケガはない?
幼い昴は、はい……
明日葉向こうのほうが瘴気が薄いから、あちらの道から逃げて
幼い昴あっ、あなたは……?
明日葉私は……星守なので
幼い昴ほ、ほしもり……あっ、あっ、あのっ!ありがとうございましたっ!
明日葉どういたしまして。はやく逃げてね
タッタッタッタッタ
明日葉(よかった。こっちには、もうひとはいないみたい……)
明日葉(先輩がた……がんばってください……)
茉梨ハァハァハァハァ……
風蘭くるぞ、マリッ!
茉梨う、うんっ
樹本当に……何なの、この数……ハァハァハァ
風蘭あーもーっ!キリがねーなっ!
イロウス・ウォルフグォォォォッ!
茉梨きゃっ!
風蘭大丈夫かっ!?
茉梨へ、へーき……
樹次、くるわよっ!
茉梨う、うんっ
茉梨(ダメだ……わたし、また、足ひっぱってる……)
風蘭でやぁぁぁあっ!
樹はああああっ!!!
茉梨(ふたりは、ほんとうに強い……わたし……わたしも……)
茉梨(ちゃんと、強くならなきゃいけないのに……)
風蘭よしっ、これで終わりだっ!
イロウス・ウォルフギャアアアアッ!!!
風蘭ハァハァハァ……ったく、しぶといヤツらだったぜ
茉梨ハァハァハァ……
茉梨(なんだろう……ザワザワする……)
樹茉梨?どうかした?
茉梨う、うん……なんか……
風蘭ケガでもしたか?
茉梨そうじゃなくて……あっちのほう
風蘭あっち?山の上?
茉梨すごく……イヤな感じがする
風蘭そーか?……別に、何も感じないけど
樹そうね……私も特には……
樹でも、茉梨が感じるなら、行ってみましょうっ
イロウスキェーーーーーーッ!
茉梨な……に……?
風蘭うげっ……なんだ、こいつら!?
樹これ……イロウス、よね……?
茉梨で、でも……今まで飛ぶのとか、いなかったよ……?
樹新種ってこと……?
風蘭と、とにかくっ!アタシらが、なんとかするしかないだろ!?
茉梨そう……だよね……
茉梨(でも、飛べるイロウスだなんて……どう戦ったら……)
イロウスキェェェーーェェッ!
茉梨(ヒッ……)
風蘭ええーいっ!いちかばちか、いくぞっ!
樹え、ええっ!
茉梨……っ
風蘭はああああっ!!!
樹やあっ!はっ!!せやぁっ!!!
イロウスシャッシャッシャーーーッ!!!
風蘭ツメとクチバシ、攻撃くるぞっ!気をつけろっ!
バサッバサッバサッ!
樹ツバサの風も、充分、脅威ねっ!
茉梨(未知の、イロウス……)
茉梨(でも、なにか……どうにか、対処法を見つけなきゃ……)
樹こいつの、弱点は何なのかしら……
風蘭ロウガは、鼻っ柱をぶっ叩くんだけどなっ
樹でも、飛んで逃げるから、そこまで攻撃が届かないわ
風蘭こっちも飛び道具ってか?そんなもん……石でも拾って投げるかぁっ!?
樹風蘭っ!捨て鉢にならないでっ!真面目に考えてよっ!
風蘭考えてるよっ!でも、なんもないんだからしょーがねーだろっ!
茉梨(いっちゃんも、ふーちゃんも、混乱してるんだ……わたしも、なにか、なにか考えないとっ)
茉梨(でも……でもっ……)
バサバサバサッ!
茉梨(あっ、飛んでるから……攻撃が当たらないの?)
茉梨つ、ツバサ!引きつけて、一気に羽を狙うのはどうかなっ!?
樹そうねっ!いい考えだわ、茉梨っ!
風蘭ああ!なんとか、動きを封じねーとなっ!
樹こうなったら……フォーメーション攻撃、やりましょうっ
茉梨えっ……
茉梨で、でもっ……わたし……
茉梨(どうしよう……自信ないよ)
茉梨(今のわたしの攻撃力じゃ……きっと、太刀打ちできない……)
樹大丈夫!これまでも、成功させてきたでしょうっ
茉梨けどっ……今までのとは……
風蘭これまで以上にキケンなのはわかってるっ!
風蘭でもやるしかないんだっ!マリならできるっ!!!
茉梨ふーちゃん……
樹お願い、茉梨
茉梨いっちゃん……
茉梨わたし…………わたし……
茉梨(逃げるの?ふたりが、できると言ってくれているのに……?)
茉梨(イヤだ……このふたりからの信頼を、わたし、裏切りたくない……)
茉梨わかった……やってみる!
イロウスキエェェーーッ!
風蘭くっそ!ブンブンと目障りなんだよっ!!!
風蘭行くぞ、マリっ、イツキっ!叩き落としてやるっ!!!
樹そうよっ!私たち星守が、イロウスに負けるわけにはいかないんだからっ!
茉梨うんっ!
イロウスキィエェェーーーッッッ!
茉梨はああああっ!!!
バシッ!
茉梨こ、こっちにこいっ!
イロウスキキキーッッッ!
茉梨(きたっ!いまだよ、いっちゃん、ふーちゃんっ!!!)
風蘭でやあぁぁぁーーーっ!!!
樹やあぁぁぁっ!!!
バシッ!!!
茉梨当たった!
風蘭セイッ!ヤッ!ハアァァァァッ!!!
ドカッ!バキッ!!!ゲシッ!!!
茉梨(す、すごい……ふーちゃんの連続技……)
茉梨(さすが、『最強の星守』だー……)
イロウスギッギギッギギギーッ!!!
茉梨効いてるよ、ふーちゃんっ!!!
バササッ!
茉梨(ダメッ!ふーちゃんたちのジャマはさせない……っ!)
茉梨はぁぁぁぁっ!!!
樹茉梨っ!私もっ!!!やあぁぁぁぁっ!!!
バサッバサッバササッ!
風蘭落ぉちろぉぉぉっ!!!
イロウスギイイイイイッ!!!
ドサッ!ピクッ……ピクピクッ
樹やったわ、風蘭っ!
茉梨勝てるっ!勝てるよ、ふーちゃんっ!
風蘭まだだっ!トドメ刺すぞ!!!
風蘭でやあぁぁっ!!!ガキーンッ!!!
風蘭クッ……かってぇ!
イロウスギイィィエエェェェッ!!!
風蘭うわっ!!!
樹風蘭っ!
バサッバサッバサッ!!!ビリッ……ビリリッ
風蘭な、なんだっ……?
まだ見ぬ脅威
第104話 覚醒
茉梨な、なに……?これ……っ
ビリビリビリビリッ!!!
風蘭うわあああっ!!!
樹きゃあっ!!!
茉梨いっちゃん、ふーちゃん!!!
風蘭クッ……な、なんなんだ、この攻撃……?
樹で、電撃……なの?
風蘭身体が……しびれてる……
茉梨(そんな……ふーちゃんたちが、あっさり……)
風蘭ま、負けるかぁっ!!!
樹うううっ、ま、まだまだっ!
ビリビリビリビリッ!!!
風蘭わああああっ!!!
樹きゃああっ!!!
茉梨いっちゃんっ、ふーちゃぁんっ!!!
茉梨(こ、このイロウス、強い……)
茉梨(こんなの相手に……いったい、どうすれば……)
イロウスキエエェ……
樹ハッ!茉梨っ!!!
風蘭ボーッとすんなっ!!!
茉梨え……?
ビリビリッ!!!
樹あぶないっ!!!
風蘭マリーっ!!!
どんっ!!!
ビリビリビリビリーーーッ!!!
風蘭ああああああっ!!!
樹風蘭っ!!!
茉梨ふ、ふー……ちゃん……?
ビリビリビリリッ!!!
樹きゃああああっ!!!
茉梨いっちゃん!
ドサッ!
樹ううっ……
風蘭クッ……ま、マリ……逃げ……ろ
茉梨ふーちゃんっ!いっちゃんっ!!!
樹茉梨だけでも……逃げて……バタッ……
茉梨い、イヤだよ……
茉梨(まただ……また、わたし……何もできない……の……?)
茉梨いや……
風蘭マリ……?
茉梨(勇気を出せなくて……掃除の時間にいつも暴れてたクラスメイトたちに、)
茉梨(メダカの水槽があるから、気をつけてね、ってどうしても言えなかった)
茉梨(そのせいで、大切にしてたメダカをなくしてしまった)
茉梨(大切な相手を守れるようになりたくて星守になったのに……)
七嶋葵早くっ!あの子たちの方へ!!!
七嶋葵酒出さんっ!今、助けられるのはあなたしかいないんですっ!
茉梨(守れなかった……わたしが、弱いから……)
茉梨(わたしのせいで……いっちゃんとふーちゃんを守れない……)
茉梨そんなのは……いやぁ!!!
茉梨やああああああっ!!!
茉梨わたしが倒すっ!こんなヤツに、ぜったい、ぜったいに……
茉梨大切な友達を……傷つけさせたりしないんだからぁっ!!!
樹ま、茉梨っ
風蘭マリ……ムチャだ……
ビリビリビリリッ!!!
茉梨きゃあーーーっ!!!
樹茉梨っ!
風蘭マリーっ!
茉梨ハァハァハァハァ……ま、まだ、まだぁっ……
茉梨やああああっ!!!
ビリビリビリリッ!!!
茉梨きゃあぁあぁぁぁぁっ!!!
風蘭も、もうよせ……マリっ
樹逃げて……茉梨っ
茉梨やだ、やだ、やだぁっ!ビリビリビリリッ!!!
茉梨あああぁぁっ!!!
茉梨あああぁぁっ!!!
ドサッ……
茉梨だ、ダメ、だ……
茉梨ハァハァ……や、やっぱり……わたしじゃ……
茉梨(歯が立つわけ、ない……)
茉梨(とうぜん、だよね……あの、いっちゃんや最強のふーちゃんでも)
茉梨(勝てない相手、なんだから……)
茉梨……っ
茉梨いっちゃん……ふーちゃん……ごめんね……
茉梨こんなわたしと、一緒に戦ってきてくれたのにごめんね
茉梨(わたしがもっと、強ければ……)
茉梨(ふたりを……ちゃんと守ることができたのにっ)
茉梨(わたしじゃ……勝てないや……)
茉梨わたしじゃ……
茉梨……っ!
茉梨(今……わたし、諦めてた……?)
茉梨(今だけじゃない……いつも、いつもいつも……)
明日葉さすがは『最強の星守』ですね!
茉梨……うん。ほんと、あこがれちゃうんだよね―
明日葉茉梨先輩も、あこがれておられるんですか?
茉梨うん。だって星守、自慢のふたりだもん
茉梨わたしはふたりのことをずっと後ろから追いかけてた
茉梨あこがれていたから、近づければいいなって思ってた
茉梨でも……心のどこかで
茉梨わたしは、ふたりと同じ場所にたつことを諦めてたんだ
茉梨どうせわたしなんかって……
茉梨わたし……自分のことを信じてなかったのかな?
茉梨(ダメだ、って……やっぱりわたしは強くなれないんだ、って)
茉梨(弱さを言い訳にして……大切なひとたちを、大好きな友達を……)
茉梨(失うことを受け入れちゃってたの?……それじゃあ)
茉梨(強くなれなくて、大事なものを守れなくて、あたりまえだよ)
牡丹力のない者を、神樹は選びはしません
牡丹あなたには、もうその力は備わっています
牡丹真の力を発揮できないのは、茉梨、あなたがその鍵に気づけていないからです
茉梨(わたしの……カギ……)
牡丹そう。その鍵は、あなた自身の中にある
茉梨わたし自身の、中に……
七嶋葵あの、ありがとうございました……たすけて、いただいて……
茉梨葵、さん……でも、わたし……
街の人あなたたちがいれば地球は安泰ねっ!
茉梨あ……
街の人応援してますっ!がんばってくださいっ!!!
茉梨わたし……わたしはっ………
樹なにがあったかは知らないけれど
樹私たちはあなたのことを信じているわ
茉梨いっちゃん……
風蘭ああ……そうだぞ。だって
風蘭だって、アタシたちは3人そろって『最強の星守』だからな!
茉梨っ……!!!
茉梨そう、だ
茉梨そうだったんだ
茉梨たくさんの人がわたしのことを信じてくれていた
茉梨そのなかでもふたりは、どんなときでも
茉梨(いつだって、わたしのことを信じてくれてた)
茉梨(それなのに……)
茉梨(わたしが……いちばん、わたしを信じてなかった)
茉梨(心のスミで、弱い自分を捨てきれてなかった)
茉梨……わかったよ、わたし
茉梨(神樹さまは、ぜんぶお見通しだったんだんだね)
樹ま、茉梨……?
茉梨もう、これ以上、ふたりを傷つけさせはしない
茉梨誰にも……イロウスにも……弱い、わたし自身にもっ!!!
茉梨はああああっ!!!
風蘭マリ……
茉梨……もう、迷わない。わたしは、わたしを信じるよ
茉梨いっちゃんとふーちゃんを、大切な友達を
茉梨守るチカラが、わたしにはある、って!!!
茉梨やああああああっ!!!
風蘭こ、この、ヒカリは……
樹これって……
茉梨あああっ……
茉梨神樹さまが……認めて……くれた……?
樹茉梨……
風蘭マリ……
茉梨いけるっ!
茉梨今なら、わたし……なににも負けないっ!!!
茉梨はあああああっ!!!
イロウスキエエエエーーー!!!
樹わ、私たちも……
風蘭ああ、マリがあんだけ、がんばってんだ……
風蘭やってやるよっ!うああぁあぁぁっ!!!
樹はあぁぁぁっ!!!
茉梨いっちゃん、ふーちゃんっ!
樹行くわよ、茉梨っ!
茉梨うんっ!
イロウスギャアアアアーーーッ!!!
茉梨ハァハァハァハァ……や、やったー……
風蘭ああ、やったな、マリっ!
樹すごいわ、茉梨っ!おめでとう!
茉梨え、えへへー……ふたりのおかげだよー
茉梨ありがとう、いっちゃん、ふーちゃんっ!
茉梨大好きっ!!!
樹ま、茉梨……
風蘭っんだよ、急にー
茉梨だってだってー、すっごくいいたくなったんだもんっ
樹も~、茉梨ったらぁ……私も大好きっ
茉梨いっちゃん…………じー……
風蘭な、なんだよっ
樹……じー……
風蘭あ、アタシはいわないぞっ!?
樹あら、いいじゃない。減るもんじゃないのに
茉梨ふーちゃんっ
風蘭ハイハイ!アタシもスキスキ、ダイスキー!
樹えー、実感こもってないわねぇ
風蘭あーもーっ!愛してるよっ!コレでいいだろっ!
茉梨うんうん♪「愛してる」イタダキましたー♪
樹ふふっ。ちゃんと言えるじゃない、風蘭
風蘭るっせ。それより、マリは白なんだな
茉梨あ、うん。そうみたい
樹とっても似合ってるわよ、茉梨
茉梨ほんと?えへへ、ありがとー
風蘭コレで、メージツともに3人で『最強の星守』だなっ!
樹もう、どんな敵がきても負けないわよ~っ!ねっ、茉梨っ!
茉梨うんっ!!!
茉梨(やっと、やっとわたしも、ふたりとオソロイになれた)
茉梨(これで、平和が取り戻せるんだ……)
牡丹神樹……
牡丹これで終わったのでしょうか?
牡丹(なにか嫌な予感がします)
牡丹(感じる……これまでにない、大きな悪意を……)
夢と約束
第105話 夢と約束
風蘭あー、もうっ、どうすりゃいいんだ!バサバサッ
茉梨ふ、ふーちゃん、紙、破れちゃうよー……
風蘭別にいーよ、こんなん!
樹いいわけないでしょ!
樹1週間後には、学校に提出しなくちゃいけないのよ?
風蘭ったく、いまいま進路調査とか言われてもなぁ
風蘭アタシは将来、激ウマのチャーハン製造機を作るっ!
茉梨ステキな夢だけど、進路ではないよねー……
風蘭うっ……そうだよな……
風蘭はぁ……卒業したあとのことなんか、考えたこともないっつーの
樹(私は、前から進学しようと決めていたけれど……)
樹(……2人は、どうするのかしら?聞いたことなかったわね)
茉梨進路、かー……
風蘭そういや、マリって、結局なんになりたいんだ?
茉梨えっ?わ、わたし?
樹前に、自信が持てたら話してくれるって、いってたわよね
茉梨あっ……そ、そう、だねー……
樹それならもう、充分じゃないかしら
茉梨え……?
風蘭そうだな
風蘭マリ、覚醒してからさらに強くなったし、自信だってついただろ?
風蘭最近じゃ、ちっこいのがお姉ちゃんお姉ちゃんって寄ってくるじゃん
樹茉梨はやさしくて強いから、子供たちにはヒーローのように見えるのかもしれないわね
茉梨ひ、ヒーロー……
風蘭なんだなんだ?まさか、正義の味方になりたいとかいいだすんじゃないだろうな?
樹さすがにマンガの読みすぎよ
風蘭イツキが言うか、それ
樹なにか文句があるのかしら?
茉梨ま、まあまあ、ふたりともー……
茉梨ヒーローではないんだけど……
茉梨わたしの夢も、それに近いものはあるのかもー……
樹まあ、そうなの?
風蘭で、けっきょくなんなんだ?マリの、その夢って
茉梨ええっと、それは……
茉梨そ、その前に、わたしいきたいところがあるんだよねー
樹ええっ、今!?
風蘭おまえなぁ……
茉梨え、えへへ……ごめんねー
茉梨わたしだけの、ヒミツの場所なの……だから
茉梨2人にも見てほしいな
風蘭はぁ、はぁ、はぁ……
風蘭なぁーマリーまだなのかぁー?
茉梨あと少しー
樹その返事……1時間前にも聞いたわよ?
茉梨えへへー、でも、ほんとに、もうちょっとだよー
風蘭つっても、どこ歩いても森じゃん!木しかないし!
樹1度、家に戻って着替えるべきだったわよね……
風蘭ああ。こんなん、制服でくるとこじゃねーよ……
風蘭歩くとこ歩くとこ枯れ葉ばっかりで……さっ!
バサバサバサバサッ!
茉梨ひゃぁっ!!ふ、ふーちゃんっ!
樹ちょっ……やったわね、風蘭!
風蘭おお!枯れ葉って、意外に攻撃力あるな♪実戦にも使えるかも
樹バカなこと言わないで!お返しよっ!
バサッ!バサッ!
風蘭うわぁああっ!?本気はやめろって!
茉梨ふふふっ
茉梨(あのとき……)
茉梨(わたしが覚醒する少し前……新型イロウスを前にして、本当にもうダメだって思った)
茉梨(でも、2人がわたしを信じてくれたから)
茉梨(わたしは、わたしの中でずっと閉ざされていた扉を開くことができた……)
茉梨(だから、わたしにとっていっちゃんとふーちゃんは……)
風蘭おーい、マリ!なにボーッとしてんだよ?
樹そうよ、茉梨!このままだと目的地につく前に葉っぱまみれよ!
茉梨……ふふっ、そうだねー
風蘭ん?なんだよ、ニヤニヤして
茉梨ちょっとね、この前のこと思い出しちゃって
樹この前?
茉梨ふーちゃんが、わたしたちのこと『大好き』って言ってくれたこと
風蘭なっ!!!
樹あー、あれは貴重だったわねー
樹この風蘭が顔まっかにして、だいすきだいすきって
茉梨だよねー♪えへへへへへ
風蘭ば、ばかっ!そんなん忘れろ!
バサササッ!!!
茉梨はわっ!?
樹風蘭……またやったわね……
樹このこのこのこの!!
茉梨えいえいえいえい!!
風蘭わっぷ!? マリまで!?
風蘭ちょっ、やめっ……口に葉っぱが……やめろーっ!
茉梨あはははっ
樹ふふふっ……
バサバサバサバサ!!
風蘭話を聞けーっ!!!!
風蘭はぁ、はぁ……うげっ、砂までクチんなか入った
樹自業自得ね……って
樹あら?あれは……
風蘭な……っ!もしかして、ここがマリの……
茉梨うんっ
茉梨言ったでしょ?もう少しでつくよーって
風蘭ここは……
樹キレイ……こんなところが、この街にあったなんて
茉梨えへへ……いいでしょー
茉梨ここがわたしのヒミツの場所だよ
樹本当にステキね。夕焼けだけじゃなくて、景色もよくて
風蘭でも、なんでこんな場所にアタシたちを連れてきてくれたんだ?
茉梨うん……それはね
茉梨想い出を作りたかったの
茉梨星守として守り続けた、大好きな街を見渡せるこの場所で
茉梨わたしたちが、3人で仲良く高校生活を送っていたこと……覚えておきたかったから
樹茉梨……
茉梨わたしたちは『最強の星守』として、すごく、強くなれたよね
茉梨この街の人たちを救えて、平和を取り戻すことができて……本当にうれしかった
茉梨だから、この平和を、これからもわたしたちで守っていきたい……
茉梨でも……でも……
茉梨もうすぐ、みんな卒業なんだよね
風蘭っ……
茉梨高校生活が終わるのといっしょに星守の役目もおしまい……みんなそれぞれの道を歩きだす
茉梨それできっと……毎日会うことは、なくなっちゃうんだよね
樹……そうね
樹……進む道が違うっていうのは、そういうこと、よね
樹卒業後だけじゃないわ。きっとこの先何度も、私たちの道はわかれていく
樹……でも
樹きっと、大丈夫よ
茉梨え……?
風蘭……そうだな。イツキの言うとおりだ
風蘭たしかに、卒業したら毎日会うことはできなくなると思う
風蘭でも、アタシたちがめちゃくちゃ戦ったこととか、ハメはずして遊んだこと……
風蘭そこでみんなが感じた気持ちは、なにがあってもなくなるはずがねーだろ
風蘭はなればなれになっても、アタシたちは、誰もが認めた『最強の星守』
風蘭だから、心はずっとひとつ!
風蘭……そうだろ?
茉梨っ……
風蘭卒業しても、アタシらはアタシらだ。地球が裏返っても変わんねーよ
樹……ええ。そのとおりだわ
茉梨うんっ……うんっ……
風蘭ば……ばかっ、泣くんじゃねーよ!
茉梨あ、あははー……ご、ごめん。ごめんね……
風蘭ったくよーもうオトナなんだからさ!しっかりしろよな!
樹(……とか言って、風蘭だって泣きそうじゃない)
樹(ほんと、素直じゃないんだから)
風蘭よ、よーし!じゃあ、この夕陽に誓って約束すんぞ!
茉梨え?約束?
風蘭3人のなかで、だれかがピンチになったときは必ず駆けつけること!
風蘭そんで、絶対に……なにがあっても、助けること!
茉梨ふーちゃん……
樹ええ……わかったわ
樹この夕陽に誓って、約束よ!
茉梨……うんっ
樹もうすぐ、日が沈むわね
茉梨うん……
茉梨そうだ……わたし、2人に聞いてもらわなくちゃ
茉梨わたしの、将来の夢
風蘭ああ、そうじゃん!そういう話だったよな!
樹それで……なんなの?茉梨の夢って
茉梨うん、わたしね……
茉梨先生になりたいんだー
樹ああ……
風蘭だろうな
茉梨ええっ?反応、それだけ?
樹だって、茉梨が先生って……しっくりきすぎているもの
風蘭そうだな。全然おどろかねーよ
茉梨ほ、本当?そうかなー?
樹ええ。茉梨にぴったりだと思うわ。きっといい先生になるわよ
風蘭アタシも、そう思うぜ!
茉梨あ、ありがとー
茉梨そ、それでね、もし先生になったら、わたし……
茉梨っ!?なにっ!?
風蘭空が!?
樹これはイロウスの……!
ビビビビ……ビビビビ……
牡丹3人、一緒にいますね
風蘭理事長!?
牡丹いますぐ、学校に戻ってください
牡丹……最悪の事態です
茉梨え……っ
夢と約束
第106話 私たちなら、きっと
茉梨はぁ、はぁ、はぁっ……
茉梨っ……理事長!
牡丹戻りましたね
樹いったい、なにが起こっているんですか!?
牡丹計測不能なエネルギーを持つイロウスの発生……
牡丹今は、そう表現するしかありません
茉梨それって、この前倒したイロウスよりも……
牡丹比較になりません
樹なんですって……
牡丹あまりの瘴気の濃さに、神樹が圧されてしまっている……
牡丹この計り知れぬ力の正体は解明できませんが、今はあなたたちに頼るしかありません
茉梨解明できない……そんなことって……
風蘭……なんにせよ、グズグズ考えてるヒマはねぇ……
風蘭やるしかねーだろ!
樹……そうね。それしか、ないわね
茉梨……うん
茉梨大丈夫。わたしたちは乗り越えてきた……
茉梨いっぱい乗り越えて、たくさん強くなった。だから……
茉梨絶対、大丈夫だよ!
風蘭ああっ!!
牡丹………………わかりました
牡丹『最強の星守』の出動を。この星の運命は、あなたたちにゆだねられています
樹星の、運命……
風蘭今は、余計なこといろいろ考えてる場合じゃねぇ……
風蘭とにかく、目の前の敵をぶった切る!!ただ、それだけだ!!
樹ええ!
ウォオオオオオォン……ウォオオオォオン……
茉梨っ……イロウス!
樹遠吠えが……こんなにたくさん……!?
牡丹すでに、他の星守たちは街へ侵入したイロウスの討伐をおこなっています
牡丹あなたたちは、北の教会に向かってください
風蘭北の教会って……今は廃墟になってる、あの場所か?
牡丹そこから、膨大なエネルギーが放出されているのを感じます
牡丹おそらく、イロウスの大群はそこから発生している……
茉梨それなら、そこをつぶせば……!
樹いくわよ!茉梨、風蘭!
風蘭ああっ!
牡丹…………
牡丹………………
風蘭なん、だよ、これ……
樹ここ……いつもみんなで歩いている場所、よね……?
茉梨大きな建物がこんなに倒れて……地面だって、割れて……
茉梨これは本当に、現実……?
グオォオオオオオオ!!!
茉梨……っ!
女性たすけて!たすけてくださいっ……
女性子供がいるんです、誰か……誰か!子供だけは……
女の子うわぁあああああん!!ママーっ!!ママー!!
茉梨人がっ!助けなきゃ……
ザシュッ……!
茉梨え……っ
イロウス・ウォルフグガァアアアア!!!
ドサ……
明日葉はぁ、はぁっ……先輩がたっ……ご無事ですか!
樹明日葉!
明日葉ああ……よかっ……た……会えて……
明日葉ずっと……心配だったんです。最初に出動要請があったとき、みなさんの姿が、見えなくて……
茉梨(あーちゃん……こんなに、傷ついて……ぼろぼろになって……)
明日葉でも、3人ともご無事で安心しましたっ……
明日葉ここは私たち……残った星守で食いとめます。だから、先輩がたは……
茉梨……あーちゃん
ぎゅっ……
明日葉え……っ、茉梨、先輩?
茉梨あーちゃん……ごめんね
茉梨つらかったよね。痛かったよね、怖かったよね……
茉梨こんな状況のなかで、よく、みんなの前に立ってがんばってくれたね
茉梨……戦ってくれて、ありがとう
明日葉っ……!!
明日葉……っ
明日葉……大丈夫です
茉梨あーちゃん?
明日葉私は、信じています。こんな最悪の状況でも、きっと……
明日葉『最強の星守』と共にある限り、私たち星守は、どんな敵にも屈することなどないと
風蘭明日葉、お前……
グォオオオオオオ……!!ウォオオオオン……!!
明日葉っ、ここはまかせてください!
明日葉先輩がたは、早く北の教会へ!理事長の話では、そこがすべての元凶なのですよね!
明日葉必ず、勝ちましょう!私も、絶対に負けませんから!
明日葉『最強の星守』の1番弟子として!
茉梨あーちゃん……
明日葉覚悟しろ、イロウス……私が相手よ!
明日葉はぁあああああああっ!!!!
樹明日葉、あの子……
茉梨(……そっか。そうだよね)
茉梨(自分のことで精一杯で、あたりまえのことに気づかなかった)
茉梨(いろんな経験をして、いろんな戦いをして)
茉梨(そうして強くなったのは……わたしだけじゃ、ないよね)
風蘭いくぞ、イツキ、マリ!
樹叩くわよ!北の教会を!
茉梨うんっ!!
風蘭くっ……なんだ、この身体にまとわりつくような瘴気は……
樹すごく濃いわね……星衣をまとってるとはいえ、気分が悪くなりそうだわ
茉梨(なんとなく、わかる。本当に、この場所からイロウスが何体も出てきてる)
茉梨行かなくちゃ
風蘭……ああ。この前のヤツだってなんとか倒せた
風蘭今回だって、いけるはずだろ
樹ええ……いくわよ
風蘭っ!コイツは……!
イロウスキエェエエエエエエ!!!
風蘭前に戦ったトリじゃねーか
茉梨な、何匹も……数えられないくらい、いる……
イロウスギギャァアアアアア!!!キェエエエッ!!!
樹くるわよっ、2体!
風蘭へっ、また電撃だろ!パターン読めてんだ、よっ!
ザシュッ!
イロウスギャァアアアアアッ……!
樹ええ、そうね……
樹1度戦った敵に負けないのは……少年マンガの鉄則なのよっ!!
イロウスグエェエエエエエッ……!
風蘭へえー、やるじゃん
樹風蘭もね
茉梨(すごい……この短期間で、みんな、こんなに強くなった)
茉梨(いける……3人なら、どんな敵がきたって倒すことができる……!)
イロウスキエェエエエエエエ!!!
樹また新しいのがきたわ!
風蘭何体きたって同じだっての!このアタシが、全部たたっきってやる!
茉梨ふーちゃんはそっちのをお願い!
茉梨わたしはこっちからきたのをやっつけるから!
風蘭おうっ!背中はまかせとけ!
樹まだまだくるわよ……
樹さあ、構えて!! 3人でこの星を守るの!
風蘭ああ!アタシたちの前に現れたこと……後悔させてやるよ!
夢と約束
第107話 はじまり
茉梨はぁああああっ!
風蘭トドメだぁっ!
イロウスグギャァアアアアア!!!!
樹まったく……キリがないわね
風蘭次から次へとこりねーな。わざわざ倒されにきてんのかぁ?
茉梨でも、ここにいるのは今たおしたので最後みた……
茉梨あ……
茉梨なんだか、あそこ……あの、祭壇の近く、すごくイヤな感じがする
樹……行きましょう
風蘭ああ!
樹このあたりよね?
茉梨うん。そこの棚の近く……
樹棚って、この燭台、の……
樹な……っ!これは……!
茉梨っ……!く、るしい……
風蘭割れた地面から瘴気があふれてきてやがる……
風蘭こんな濃度の瘴気……感じたことねーぞ……
茉梨ひょっとして、これが、理事長の言ってた……
樹イロウスが発生してきている場所ってことかしら。それなら、ここを……
茉梨あぶない、いっちゃん!
樹きゃっ!?
青ゲルピャァアアアッ……!
風蘭なっ……ゲル!?さっきまでいなかったよな!?
茉梨やっぱり、ここから出てる瘴気が、イロウスを生んでるんじゃないかな……
樹油断大敵ね……助かったわ、茉梨。ありがとう
茉梨うんっ
風蘭ゲホッ、ゲホッ……グズグズしてるヒマはねーな
風蘭あんまり長くここにいると、瘴気に飲まれちまいそうだ
樹そうね。早くこの割れ目を塞ぎましょう
茉梨で、でも……どうやって?
樹そ、それは……
風蘭とにかく!石でも板でもなんでもいいからそのへんからかき集めろ!
風蘭完全に塞ぐことはできなくても、多少は抑えられんだろ
樹そ、そんなやっつけ仕事でどうにかなるものなのかしら
風蘭……どっちにしたって、やるしかねーだろ!
茉梨と、とりあえず、わたしは石、とってくるね!
樹私は入り口のほうを探すから、茉梨と風蘭は向こうを……
樹………っ
茉梨え?いっちゃん?
風蘭イツキ?どうした?まさか、瘴気、に……っ
茉梨え?ふ、ふーちゃんっ?
ドサ、ドサドサッ……
茉梨ふ、ふたりとも、どうしたの!?しっかりして!
風蘭…………
樹…………
茉梨な……なんで?どうして……?
茉梨起きて!起きてよっ、ふたりともっ……!!
イロウス・ウォルフグォオオオオオオオオッ!!!
茉梨っ……!?また……っ
???きゃぁあああああっ!!!
茉梨え……この、声……
茉梨うそ、そんなはず、ない。だって、あのとき、あのひとは……
???こないでっ……こないでぇっ……
七嶋葵たすけてぇえええっ!!
茉梨葵さんっ……!!
茉梨ほ、ほんとに……?ほんとに、葵さんなの……?
茉梨どうして、葵さんが……だって、葵さんは、あのとき……
七嶋葵きゃぁああああっ……!お願い、誰か……!
茉梨(っ!余計なこと考えてる場合じゃない!)
茉梨(とにかくいまは、葵さんを助けなくちゃ!!)
茉梨はぁあああああっ!!
イロウス・ウォルフグォオオオオオン……!!
茉梨大丈夫ですかっ!?
七嶋葵あ、あ……私、私……また、あなたに……
七嶋葵ありがとう、ございます……酒出さん
茉梨や、やっぱり……葵、さん……本当に、葵さんだったんだ
茉梨(あのとき……助けられなかったって思ってたけど……あれは)
茉梨(あれは、わたしの勘違いだったんだ)
茉梨だって、いま、葵さんはここにいる……無事でいてくれてたんだ……!
茉梨よかった……本当に……本当に、よかった……
ぎゅっ……
茉梨わたし、わたし……あの日のこと、ずっと……ずっと忘れられなかったんです
茉梨葵さんと女の子、どっちも助けなくちゃいけなかったのに……できなかった
茉梨私に、力がなかったから……
茉梨でも……今は違います
茉梨わたしはあのときよりずっとずっと強くなりました
茉梨だから、もう誰も……誰も傷つけさせたりはしません!!
七嶋葵………………
茉梨ここは危険です!出口まで一緒にいきますから、教会から離れてください!
茉梨いきましょう、葵さん!
七嶋葵…………
茉梨……え?葵、さん?
イロウスキシャァアアアア!!!
茉梨っ!またイロウスが!
茉梨早く出口のほうに!ここは、わたしがとめ……
ザッシュッ……!
茉梨えっ……?
イロウスギャ……ギャアアアァアアア……!!
茉梨(い、今……なにが、起こったの?)
茉梨(わたしの前で葵さんがイロウスを……)
茉梨ど……どうして?
七嶋葵……ふふ
七嶋葵酒出さん……ずっとあなたに黙っていたことがあります
茉梨葵、さん……?
七嶋葵私……私は……
七嶋葵ずっと、あなたのことを求めていました
茉梨わたしのことを、求めて、いた……?
茉梨どういう、意味ですか?
七嶋葵……ふふ
茉梨お……お話なら、あとでもできます!
茉梨だから、今はここから逃げましょう!
イロウスキエェエエエエエエエッ!!
茉梨っ……!ま、また、イロウスが……!
イロウスキシャァアアアア!!!
茉梨あ……た、助けなくちゃ!わ、わたしがっ……
七嶋葵騒がしいですね
ズバッ!!!
茉梨っ……!
オォオオオオン……!!
七嶋葵今は、とても大切な話をしているのですよ
茉梨(ま、また……まただ……)
茉梨わたしの見間違いじゃなかった……
茉梨どうして……どうして葵さんにこんな力が……!?
茉梨さ、さっきだって、最初は『助けて』って……だから、わたし
茉梨(それ、なのに……今の葵さんは、まるで……)
七嶋葵……ふふっ。混乱させてしまいましたか
七嶋葵私の“素顔”があまりに以前と違うから……
茉梨っ……!
七嶋葵でも……以前の私も、今の私も、目的は変わりません
七嶋葵狂おしいほど、あなたを求めている
茉梨ど、どういうこと、ですか……
茉梨全然、わかりません……っ
七嶋葵『最強の星守』の2人が意識を保っていられないほどの瘴気のなか……
七嶋葵あなたは、苦しくとも呼吸をし、そして、私と会話をしている
七嶋葵だから、欲しいのです……あなたが
茉梨葵さんの言っていること、全然わかりませんっ……
茉梨で、でも……でもっ
茉梨葵さんは2回も、イロウスを目の前で倒してくれた……
茉梨ひょっとして……あなたも、星守だったの……?
茉梨だから、いっしょに戦う星守がほしいって……そういうことですか?
茉梨そ、それだったら、わたしも、力に……
七嶋葵………………私が、星守?
七嶋葵ふふふふふ……
七嶋葵あははははははは!!私が……この私が、星守ですって!?
七嶋葵ふふふ……至高の喜劇だわ
茉梨葵、さん……?
七嶋葵私と星守は縁深い。けれど、その本質は炎と水、陰と陽……
七嶋葵悠久の時を渡り歩くのに、魂はすり減っていく……
七嶋葵その躰を満たすのに最適なのが、哀しき人間が生む負の感情……
七嶋葵そしてその因果を凡庸な人間より多く抱くのが、神樹の加護を受けた星守
七嶋葵そして……次は、あなた
茉梨(わ、からない……わからない、けど……)
茉梨あなたは、わたしの知っている葵さんじゃない……
茉梨わたしに、勇気を与えてくれて、立ち向かうことの大切さを教えてくれたあの人じゃ、ない
茉梨いったい、あなたは誰なの……?
イリス……イリス
茉梨イ、リス……?
イリス名前に意味などありません。でも、いつからか、人は私をそのように呼びます
夢と約束
第108話 たとえ、壊れても
茉梨……っ、人間じゃ、ないの?
イリス……さあ
イリスどうかしら……
茉梨(人間じゃ、ない……人の形をしているのに中身は、とても、冷たい)
茉梨(感覚で、わかる。この人には、人にあるべき感情が、抜けている……)
茉梨(このひとは……人間じゃ、ない……!)
茉梨イロ、ウス……
イリスイロウス……それは、私の影……私と魂を共にするもの
イリス彼らは、いにしえからこの身を現世に繋ぎとめるためによく役立ってくれました
茉梨どういうこと……?
イリス先述のとおりです。この世界の光は、あまりにまぶしい
イリス月日と共に、私の魂は老いに向かう人間のように削り取られていく
イリスそんな私の存在の源となるのが、人間の絶望……そして、恐怖
茉梨な……っ
イリスだから私は、イロウスを束ねる……
イリスあれが人間を襲ったとき、人間は恐怖の声をあげるでしょう
イリスその美しい旋律が……私にはたまらないのです
茉梨……っ!!
イリス理解していただけましたか?イロウスは私に最高の食事を運んでくる給仕なのです
イリスそして、たったいまも……
ウォオオオン……ウォオオオオオン……
茉梨(この人のせいで、ずっと昔から多くの人が苦しんできた……)
茉梨(そして、今も、こうして話している間にも傷つけられ続けてる……)
茉梨やっぱり……
茉梨やっぱり、あなたは人間じゃない!!
イリス……ふふ
茉梨あなたは星守の敵……この地球の敵、イロウスの仲間!!
茉梨あなたを倒せば、イロウスの侵攻もとめられる……
茉梨もう……理不尽なことで苦しむ人もいなくなる
茉梨だから、わたしは……あなたをここで絶対に食い止めてみせる!!
イリスふふ……ふふふふふっ……
茉梨なにがおかしいの!!
イリス申し訳ありません。先への期待に、笑いが止まらなくて
茉梨期待……?
イリスここまで、すべてが予定通り……私の戯曲の序章……
イリスきっと、あなたはこのあとも、私の思惑どおりに動いてくださることでしょう
茉梨な、に……?どういうこと……?
イリス……ふふふ
イリスあなたは、強くなった。最初に“私”と会ったときよりも、強く……
イリスだからきっと、私に勝てると信じて向かってくることでしょう
イリスけれど、それさえも……すべて、私の描いた絵の中……
イリス私の敷いた軌道の上を走っているだけにすぎないのです
茉梨……っ!?
茉梨なにを、言ってるの……?
茉梨わたしが強くなることで、あなたにとってなんのメリットがあるの!?
茉梨そんな言葉なんかに、惑わされない!
イリス……ふふ
茉梨(耳をかしちゃ、だめ……まともに取り合ったらだめ……!)
茉梨(相手は人の負の感情を吸って生きている化けもの……)
茉梨(わたしを動揺させようとしてるだけなんだから!)
樹私たちはあなたのことを信じているわ
風蘭だって、アタシたちは3人そろって『最強の星守』だからな!
茉梨(……わたしが強くなったのは、わたしが、わたしを信じたから)
茉梨(大好きな2人がわたしを信じてくれたから!)
茉梨(その大切な気持ちを……絶対に、誰かに汚させたりしない!)
イリスおめでたいですね、星守
イリスそして、哀れです。あなたの信じているものは、とても脆く、儚いもの
イリスしかし、それが壊れたとき……あなたたちは至高の表情を見せてくれるのです
イリスとこしえの時を、私は渡り歩き、数多の星守に絶望を与えた
イリス無念を唱えながら逝く人間の嘆き、苦悩……それは極上の甘露でした
茉梨……許さない
茉梨人の感情をもてあそんで、人を傷つけて、苦しめて、惑わせてあざ笑う……
茉梨わたしは、あなたのこと……絶対に、許さない!
イリスすべては、あなたを手に入れるため
イリス哀れな星守。かわいそうな星守……
イリスそんなあなたたちのことを、私はとても愛おしく思っているのです
茉梨だまれ……だまれぇっ!!
イリスふふ……ようやく私のものらしくなってきましたね
イリスでも……まだ、足りません
イリス総ての願いを断ち切ってさしあげましょう
茉梨……っ!
茉梨これ以上、あなたの好きなようにはさせない!
イリスそれをとめるのは、あなた
イリスとめることができると……本気で信じているのでしょう?
茉梨そうだっ!!
イリスならば、みせてください
イリス哀れな星守が、私の前で膝をつく、その瞬間を
茉梨う……
茉梨うあぁああああああっ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
茉梨はぁっ……はぁ、はぁっ……建物が、くずれて……でも……… …… ……
茉梨や、ったの……?わたし……
茉梨(守れた、の……?)
???ふふ……ふふふふふふっ……
イリスそちらの攻撃は、もう、おわりですか?
茉梨な……っ
茉梨(全然効いてないっ!?おかしい、だってあんなに叩いて……)
茉梨(こ、こっちはこんなに消耗してるのに、まるでなにも、なかったみたいに……)
茉梨(……強い……本当に、強い……)
茉梨でも……あきらめるわけにはいかないっ!!
茉梨やぁああああああっ!!!
イリス無駄です
茉梨あぁあああああっ!!
イリス他愛もない。あなたの存在は今、私にとって紙切れと同じです
イリスあきらめなさい
茉梨あきらめない!!!
イリス……まだ立ち上がりますか。愚かな星守
茉梨立ち上がらなくちゃ……立ち上がらなくちゃ、いけないの……
茉梨だって、わたしは……わたしは『最強の星守』のひとりだから!!
イリス……そうですか
イリス大いなる力の前に膝をつくあなたを見たかったのですが……やむをえません
イリスあなたとの遊びに付き合うのもいい加減、飽きました
イリスそこまでして守りたいのなら……守っていただきましょう
イリスあなたの大切な2人を
茉梨な……
茉梨いっちゃんとふーちゃんに手を出すなっ!!
イリス……星守という生き物は、本当に興味深いものです
イリス他人のために、そんなに傷ついて、苦しんで……
イリス自らを傷つけてまでなにかを守る必要がありますか?
茉梨……あなたには、絶対にわからない
茉梨わたしにとって……人にとって、友達がどんなに大切なものなのか
茉梨自分の身を引き換えにしてでも、助けたいって……救いたいって思えるものなのか……
イリスともだち……そう、“ともだち”……
イリスあなたたち星守は時として、何度も呪文のようにその単語をとなえる
イリス私は、それを幾度となく見てきました
茉梨幾度と、なく……?
イリスときには、特訓のさなか。ときには、戦闘のさなか。ときには、覚醒のさなか……
イリスそして、多くは……私の存在に屈し、その命の灯火を絶つときに
茉梨な……っ
イリス“ともだち”……それは私にとって利用価値のあるもの……そして
イリスあなたたちの最大の弱点
ズバッ!!!
茉梨っ!いっちゃんにっ……!
キィン……!
茉梨させない!!
イリス……ふふ
イリスあくまで、私を倒すつもりなのですね……いいでしょう
イリスそれならば1度だけ、私も本気をみせてさしあげます
ドンッ!!!!
茉梨(な……っ……!空気が、変わった……!?)
茉梨(この、感じ……いままでと、ちがう。本能的に、わかる)
茉梨(あ、足が……震える。どうして……身体が、動かない……)
茉梨どう、して……
茉梨(あきらめたく、ないのに……守りたいのに……大好きなひとを)
茉梨(お願い……なくしたくないの……大切な、友達を……大切な日常を……)
茉梨やめて!!!!!
イリスああ……やっといい声で啼いてくれましたね
イリスでも……まだです。もっと……もっと、嘆きを、絶望を、苦痛を……!
イリスすべての願いを打ち砕いてさしあげましょう!!
オォオオオオ……オォオオオオオ……
茉梨や、やめて……
茉梨やめてやめてやめてやめてぇええええっ!!!
茉梨身体、動いてよ!!!どうして、どうして動かないの!!!
茉梨守るって決めたの!!!もう、傷ついたものを見ているだけはイヤなの!!!
茉梨それなのに、だから星守になったのに、どうして、どうして!!!
樹茉梨!
風蘭マリ!
茉梨どうしてぇえええええっ……!!
イリスふふ……ふふふふっ……絶望を悟った星守の嘆きは、とても甘い……
イリスわずかでも空腹を満たしてくれたあなたに、最後にひとつだけ贈り物をさしあげましょう
茉梨え……っ
イリス選びたくは、ありませんか?この、2人の……
イリス大切な、“友達”の運命を
はじまりの物語
第109話 星守として
茉梨や、やめて……
茉梨やめてやめてやめてやめてぇええええっ!!!
茉梨守るって決めたの!!!もう、傷ついたものを見ているだけはイヤなの!!!
茉梨それなのに、だから星守になったのに、どうして、どうして!!!
イリスふふ……ふふふふっ……絶望を悟った星守の嘆きは、とても甘い……
イリス選びたくは、ありませんか?この、2人の……
イリス大切な、“友達”の運命を
茉梨な……にを、言ってるの……?
茉梨2人の……運命を、選ぶ?わたしが?どういう、こと……っ
イリスあなたが望むなら、“大切な友達”を助けてあげるということです
茉梨な……!?
茉梨どうしてそんなこと……
茉梨そんなことをして、あなたにいったいなんの得があるの!?
イリスふふふふふふ……
イリスむずかしく考える必要はありません
茉梨え……
イリス簡単なことです。あなたは、ただ差し出せばいいだけ
イリスその身体を、この私に……
茉梨っ……!
イリス人間というものは等価交換を好むのでしょう?
イリスそれならば私も、あなたたちの流儀に従ってさしあげましょう
イリスああ、ですが……等価、ではないのかもしれませんね
イリスあなた1人の命で2人の命を助けることができる
茉梨な……っ
イリスどうですか?……良い取引ではありませんか?
茉梨あ、あなたは……
茉梨2人を助ける代わりに、わたしの身体を差し出せと……そういってるの……?
イリス……ふふ
イリスやっと、理解していただけましたか
茉梨っ……!
イリスそう。私が欲してやまないのはあなたのその身体
イリス穢れを知らず、あらゆる色に染めることができる、純白のキャンバス
イリスそれさえ手にいれられれば、ほかにはなにもいらない……
茉梨どうして……
茉梨どうしてそこまでして、わたしの身体がほしいの……?
イリス私の、依代にするため
茉梨より、しろ……?
イリス私の存在は、とてもあいまい……霞がかって、とても儚い
イリスだから……私がここに在るためには人間の身体が必要なのです
茉梨な……に……?
イリスですが、人間の身もまた脆い。時と共に削られていく
イリスだから、滅びの刻がくるたび、私は新たなる依代を求めさまよい歩くことになる
イリスそして……とこしえの旅を終え、“また”、みつけた
イリス私の魂を宿すのにふさわしい身体を
茉梨……っ!
イリス依代は、強くなくてはならない。想いを抱いていなくてはならない
イリス想いの強さはエネルギーを生み、私の魂をその身に定着させる
イリスその因果を多く背負っているのが、星守……
イリスそして、稀代の星守である、あなた
茉梨そん、な……
イリス……これが、すべての出来事のあらまし。時の航海の終着点……
イリス時は満ちました……さあ、その身体を私に
イリス死ぬことはないから、安心しなさい
イリスあなたは私の一部となり、永いときを生きることになるでしょう
イリス……依代としての役目を失うまでは
茉梨……っ
茉梨わたしがあなたに身体を渡す?そうして……永遠の時を生きる?
茉梨そんなものを、選べっていうの?
茉梨だって……だって、わたしがあなたに身体を渡してしまったら……!
茉梨(この化物は、今後も生きながらえる。命を、存続させることになる)
茉梨(そして……その手助けを、わたしがこの手でしてしまうことになる)
茉梨(それが、わかってるのに……)
茉梨身体を渡せるわけないじゃない!!
イリス……なぜ?
茉梨わたしは星守!地球を守るために存在しているの!
茉梨わたしには、あなたを倒す使命がある!だから……
キィン……!
茉梨あなたが生きるための“依代”を……この身体を……差し出すわけにはいかない!!
イリス……そうですか
イリスそれがあなたの答えなのですね
茉梨そうだっ!!
イリスしかたありませんね。それでは……
イリス死んでいただきましょう。あなたの大切な友達に
茉梨っ……!?
ゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ……
茉梨(地面が揺れて……空気が、振動してるこの感覚……くる……)
茉梨(とてつもない力が、この大地に……)
茉梨こ、これがもし……本当にきたら……ここに振り下ろされたら……っ
茉梨い、いや……
茉梨いやぁああああああっ!!
茉梨わたし……わたしはっ……
茉梨(大切な2人を守りたい。でもこの人に身体を渡すのは存在理由をあたえるということ)
茉梨(そして、わたし自身も……化物の一部になるということ)
茉梨(そうなってしまったら、わたしはもう、星守として地球を守ることができない)
茉梨(それどころか、星守の敵になって、長い時間を生き続けることになる)
茉梨(……守りたいものがあったから、星守になった)
茉梨(たくさんのひとを助けたくて、星守になった)
茉梨(…………でも……でも……っ)
茉梨わたしがここまでがんばってこれたのは……戦ってこれたのは……
風蘭でもやるしかないんだっ!マリならできるっ!!!
樹私たちはあなたのことを信じているわ
茉梨(『最強の星守』のひとりとしてやってこれたのは、大好きなふたりがいたから)
茉梨ふたりはわたしの存在理由そのものだった。だから……
風蘭よ、よーし!じゃあ、この夕陽に誓って約束すんぞ!
茉梨え?約束?
風蘭3人のなかで、だれかがピンチになったときは必ず駆けつけること!
風蘭そんで、絶対に……なにがあっても、助けること!
茉梨ふーちゃん……
樹ええ……わかったわ
樹この夕陽に誓って、約束よ!
茉梨(……そうだよね。約束、したよね)
茉梨(誰かがピンチのときは駆けつけて……)
茉梨(必ず、助けるって……)
茉梨(『この星の人たちを守る』それが、わたしたちの……星守の使命)
茉梨(だから、わたしは……)
イリスさあ、どうするのですか?……こたえを
イリスあなたの、最期の選択を!
茉梨っ……
茉梨……ごめんなさい
イリス(……!神樹の力が消えて……)
イリス(選んだのですね。酒出茉梨……)
茉梨…………
茉梨おわかれ、だね。いっちゃん、ふーちゃん
はじまりの物語
第110話 願い
茉梨おわかれ、だね。いっちゃん、ふーちゃん
樹…………
風蘭…………
茉梨……わたしの身体を、あなたに渡します
イリスふ……ふふっ……ふふふふっ……そう……
イリスそれが、あなたの選択……なにもかも、思い通り……私の絵のなかだったわ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
茉梨もう、いいでしょう。わたしは逃げたりしない
茉梨だから、最後におわかれを言わせて。だいすきなふたりに
イリスふふ……いいでしょう。好きにしなさい
茉梨…………いっちゃん……ふーちゃん……
ぎゅっ……
茉梨こんな方法しかとれないわたしを、許して……
茉梨目が覚めたら、きっとふーちゃん、怒るだろうな。勝手に決めるなって
茉梨いっちゃんは……悲しんでくれるのかな。わたしがいなくなったこと
茉梨自惚れなんかじゃ、ないよね。きっとそうだよね。いっちゃんとふーちゃんは……
茉梨…………っ
茉梨……ふたりが笑ってる顔が、だいすき
茉梨ふーちゃんを怒って追いかける、やさしいいっちゃんが、だいすき
茉梨暗い気持ちになったとき、明るくはげましてくれるふーちゃんが、だいすき
茉梨だから、わたしは、破りたくなかったの
茉梨ふたりとの大事な約束を、忘れたくなかった……それに
茉梨……信じてるの。ふたりが、このあと必ず……どんなに時間がかかっても
茉梨星守の使命を継いで、地球を……地球の人たちを守ってくれるって
茉梨きっと、たくさん、たくさん時間が必要だよね
茉梨わたしたちがいっしょに過ごしてきた時間よりも、たくさん……
茉梨でも、ふたりならきっと……いつか……
シュル……
ゴォオオオオオオオ……
茉梨……っ!
イリス……時間です
イリス最後のあいさつは終わりましたか?
茉梨…………はい
イリス……では
イリスその身体をこちらへ
パアアアア……
イリスさあ、力を抜いて。自然の流れに身を任せるのです
茉梨あ、つい……!
イリスふふ……すぐに楽にしてさしあげます
茉梨あ……
茉梨これ、が……
茉梨この、化物……『イリス』の正体……
イリスふふ……待ちわびた……待ちわびたわ
イリスついに……ついに、この身体が我が手に……!
茉梨(『最強の星守』がいてくれる。いっちゃんとふーちゃんが絶対に、守ってくれる)
茉梨(わたしが守りたかった人を。わたしが守りたかった世界を)
茉梨(最高のともだちをわたしは、忘れないから)
茉梨(だから……)
茉梨さよなら
イリス………
イリスふ……ふ……
イリスふふふふふ……っ
イリス力が満ちていく……久方ぶりのこの感覚……
イリスああ、やっぱり星守の身体はいい。あたたかくて、やわらかい
イリスああ……まるで、この世に目覚めたときのよう……
イリスしかし、これほどの“想い”の持ち主だとは……期待以上だわ、酒出茉梨……
イリス最高の依代を頂いたのですから……約束は守らないといけませんね
風蘭…………
樹…………
イリス……ふふ。あなたたちと私の縁は、これでとても深くなった
イリス再会のときを楽しみにしていますよ、星守。私を倒しにくるときを……
ウォオオオオン……!!!ウォオオオオオンン!!!
イリス……ここも、もう用済みですね
ガラガラガラガラ……
風蘭……っ、く………
風蘭ま……マリ……?
風蘭マ、リ……?
風蘭なんだ、これ……頭がいてぇ……いったい、なにがどうなって
ビンッ……!
風蘭ん?なんか引っかかって……白いリボン……?
風蘭……っ!!これはっ!!
樹ん……風、蘭……?
風蘭イツキっ!!
樹な、にがあったの?私、突然意識を失って……
ガッ!!!
樹な、なに……?風蘭、どうしたのよ
風蘭マリが……マリが、いないんだ
樹え……?
風蘭リボンだけ……リボンだけおいて、消えちまったんだよ!!
樹な……
樹そ……そんなこと、あるわけないじゃない
樹だって、茉梨はさっきまで、私たちと一緒に……
風蘭でもっ!!見ろよ、コレっ!!マリのリボンだろ!!
樹あ……っ
樹そ、そうだけど……
風蘭っ……
風蘭(イヤな予感がする。とてつもなくイヤな予感だ。今まで、感じたこともない)
風蘭(まるで……まるでなにかを……大事なものをなくしてしまったような……)
樹まさか……
明日葉先輩がたっ!!ご無事ですかっ!!
樹あ……明日葉!?どうしてここに!?
明日葉早く……早く、この教会の外へ……外へ出てくださいっ……!
風蘭な、なんでだ?まだ、マリを見つけてない……マリを、みつけないと
明日葉ダメですっ!!
明日葉この星は……もう、ダメなんです……
風蘭は……?
樹なんですって……?
風蘭な……なに言ってんだ?あたしたちが守るんだろ?そのための、星守なんだよな?
明日葉っ…………
明日葉できな、かったんです
明日葉もうすぐ、地球は……地球はっ……
明日葉イロウスに、占拠されます!!
はじまりの物語
第111話 審判の日
風蘭占拠、される……?イロウスに、この、地球が……
明日葉は……はい。学園からも、そう連絡が…ありました
風蘭そんな……うそ、だろ……
樹私たち……守れなかったの?この地球を……この星に住む人たちを……
風蘭……マリ
樹え?
風蘭そうだよ、マリ……マリがいるじゃん
風蘭きっと、どっかで戦ってんだよ!だってそうだろ!突然消えちまうわけねぇもん!
樹そ、そうよ……そうよね
樹きっと、この建物のどこかで戦っているんだわ
樹いかなくちゃ……ひとりで戦わせるわけにはいかないわ……だって、私たちは
明日葉ダ、ダメですっ……!
明日葉この建物はすでにほかの星守が調べています
明日葉それで……おふたり以外はだれもいないって、連絡をうけてます……
樹そんな……
風蘭どういう、ことだ……
明日葉連絡をもらったとき、私も違和感を覚えました。だって、みなさんはいつも一緒だったから
明日葉どこにいかれたんですか?茉梨先輩は……どうされたと、いうのですか
明日葉なぜ……なぜ、おふたりと一緒にいらっしゃらないのですかっ……
風蘭わ……わかんねーよ……そんなの……
風蘭こっちが……こっちが聞きてーよ!
明日葉風蘭先輩……
ガラガラガラガラ……
明日葉っ……!建物が、くずれて……
明日葉出ましょう!このままでは、ガレキの下敷きになってしまいます!
樹で、でも……茉梨が……茉梨がいないの……さがしに……さがしにいかなきゃ
明日葉樹先輩っ!!
樹っ……!
風蘭わ……わかった
風蘭わかったよ、アタシ。なんだ、そういうことだったんだ
風蘭きっと、マリのことだから……イロウスを追って、外に出てんだよ
風蘭そんで、今もどっかで、イロウスと戦い続けてる……
風蘭この建物にいないってのは、そういうことだろ……
明日葉っ……
明日葉せん、ぱい……
明日葉はぁ、はぁ……はあっ、はあっ……
明日葉きっと、ここまでくれば大丈夫です。先輩がたも……
明日葉……っ!
風蘭なん、なんだよ……なんなんだよ、これ……
樹これが、私たちの……私たちが暮らしてきた、街……?
明日葉っ……
樹どうして……どうして、こんなことに
樹私たちの役割は……星守の役目は……っ
ピピピピ、ピピピピッ
樹あ……
牡丹樹、風蘭、明日葉……そこにいますね
樹り、じちょう……
牡丹樹、風蘭。よく聞きなさい
牡丹明日葉から伝達があったと思いますが、人類は地球から一時撤退します
樹そん、な……
牡丹このままでは神樹が瘴気に侵されてしまう。……そうなれば
牡丹あなたたち星守はもちろん人々も無事ではすみません……
牡丹緊急手段ですが、学園周辺区域とともに神樹を地球より離脱させます
牡丹ただちに学園に戻りなさい。……わたしたちの戦いは、まだ終わっていません
樹理事長……
樹で、でも……茉梨が……茉梨が、いないんです……
牡丹………………
樹理事長は、知っていますか。茉梨が、どこにいるのか……
牡丹……………………わかりません
風蘭…………
牡丹……報告は、またのちほど。必ず、生きて帰るのですよ
プツッ……
樹あ…………
風蘭は……はははは……
風蘭『学園に戻れ』ってさ……この通信、きっとマリも聞いてるよな……
風蘭だからきっとマリも……戻ってくるよな……また、会えるよな……?
明日葉っ……
明日葉(……さっき、理事長は茉梨先輩の名前をおっしゃらなかった)
明日葉(ここにいる私たち3人だけの名前を口にした)
明日葉(理事長は……ご存知なのですね。茉梨先輩が……茉梨先輩が……)
明日葉(そしてきっと……きっと、おふたりも……)
樹い……いや……いや……っ……こんなの、いや……
風蘭マリ……お願いだから。なんでもするから……帰ってきてくれ
風蘭おまえのすきなもの、なんでもやるよ。おまえが望むなら、なんだってする
風蘭だから……だから、頼むよ……頼む……
風蘭マリィイイイイイイッ!!!
そうして地球は奪われ、私たちも星守としての役目を終えた
卒業までのことは覚えていないわ
ただ、世界が急に色をなくしたように思えた
きっと……それまでの日々が、まぶしすぎたからね
コロニーで生活するようになって、私たちは必死で茉梨を探したわ
……でも、その姿が見つかることはなかった
抜け殻のようになった私たちは、互いに口をきくことも少なくなった
話せば茉梨のことを思い出してしまうから……それが私たちにはつらかったのよ
そんな私たちにとって……卒業は正直、ほっとするものだったわ
この学校から離れられれば……風蘭と距離をおければ
少しは、つらい思い出から、目をそむけることができると思ったの
でも……仄暗い日々を送るなかで、私たちは偶然に再会した
樹ふう、らん?
風蘭よぉ、イツキ。元気か?
空いた時間を感じさせないくらい、私たちは自然に話すことができたの
まるで……昨日、学校でわかれたばかりのように
風蘭へえ、イツキ、マジで司書目指してんだ
樹あなたは、なにしてるの?
風蘭んー……はぐれ研究者かな?
樹ふふっ。相変わらずね
風蘭まあな
風蘭………………でもさ。なんか、違うんだよな
樹え……
風蘭…………
樹……風蘭?
風蘭……なあ、イツキ。このあとちょっと付き合ってくれないか?
風蘭行きたいところがあるんだ……イツキと、ふたりで
はじまりの物語
第112話 はじまりの物語
樹学校……ここに来るのも久しぶりね
樹でも、どうしてこんな場所に?
風蘭……見てみろよ、これ
樹っ!?これは……
風蘭旧校舎の取り壊しのときにたまたまふっとばされたんだろ
風蘭ま、アタシも見つけたときはビビったけど
樹まさか、あのときの落書きがこんなかたちで残っているなんて……
風蘭ふ、う、らん、っと♪ほら、マリとイツキも
樹ええっ!?そんなこと、していいわけないでしょ!?
風蘭へーきだって。どうせ見えないウラっかわだし
風蘭ほっといたって、取り壊されたら元の板になっちまうし
樹それは、そうだけど……
茉梨いいね!3人で直した記念にっ♪
茉梨ま・り、っと。はい、いっちゃん
樹ふふ、かわいらしい字ね。ミミズが泳いでるみたいなあなたのと違って
風蘭あん?
樹ふふふっ
風蘭こうやって話してると、思い出すな
樹ええ……あれからどれくらい経ったかしら
風蘭勉強ばっかだった学校も卒業して、イツキっていうお目付け役もいなくなって、
風蘭これはアタシが望んでた自由だ!やりたいこといっぱいやれる!……そう思ってた
樹風蘭……?
風蘭でもさ……違うんだよ。こうじゃないっていうか……しっくりこないっていうか
風蘭まるで、胸にぽっかり穴が空いたみたいに
樹……!
樹……私も……
樹私もときどき、思うことがあったの
樹私がやるべきこと……やりたいことって、本当にこれでよかったのかしらって
風蘭……そうか。イツキも…………………
風蘭考えるんだ、いろんなこと。今まであったこと……マリの、想い
樹……っ
風蘭だから……
風蘭なあ、イツキ。アタシ、考えたんだけどさ……
風蘭はい、この話はここで終わりだ
風蘭いやー、ガラにもなく湿っぽい話しちまったな……って……
風蘭なんでアンタたちが泣いてんだよ……
みきぐすっ……だってぇ……
遥香茉梨さん……
昴なんでこんな大切なこと、いままで話してくれなかったんですか!
風蘭……聞かせる話でもないだろう
風蘭今の星守はアンタたちだ。過去のことなんか、気にしなくたっていいんだよ
遥香そんな……
樹……そうね。そのとおりだわ
昴八雲先生まで……
風蘭……ほーら!あんまりグズグズ言ってっと、特訓の量10倍にすんぞ!
昴ええっ!?
風蘭イヤなら散った散った!
樹進路調査票、忘れずにね
みきはぁ~い……
ガラガラガラッ
明日葉お疲れ
昴(あ……)
明日葉ん?みんな集まってなにをしてるんだ?
風蘭明日葉こそどうしたんだ?
明日葉私は、学級委員の仕事が終わったので、いま帰ろうかと……
みき明日葉先輩!
がばっ!!!
明日葉う、うわっ!?な、なんだ、おまえたち!蓮華の罰ゲームか!?
昴……う、ううっ……
明日葉なっ……!なぜ、泣いて……
昴明日葉先輩は、これからも……
昴いえ、いつまでも、私の目標なんです
昴あの日から……あのときから、ずっと……
昴ずっと、ずっと……!!
明日葉昴……
みき今まで、星守として活動してきて、いろんなことがあって……
みきでもでもっ、きっと明日葉先輩のほうが、いろんなことがあったと思います
みきだから……だからっ
みき……私たちも、がんばります。これからも、星守として、みんなを守るために
明日葉みきまで……どうしたんだ、突然……
風蘭……ふふっ。受け止めてやれ
樹……そうよ、明日葉
樹いまはあなたが先輩としてみんなを引っ張っていかなきゃいけないんだから
樹かつての私たちがそうであったようにね
明日葉……っ!
明日葉ええ、そうですね……
明日葉…………
明日葉……みき、昴、遥香。私たちは星守だ
明日葉私たちには、まだまだ……守るべき人たちがたくさんいる
明日葉力を……貸して欲しい。これからも一緒に、戦ってくれるか?
みきはいっ!
昴もちろんですっ!
明日葉……よしっ
明日葉では、いまから特訓だ!
みきはいっ!!!
風蘭……あーあ。なんかつかれたな。らしくない話もしちまったし
樹そうね……私たちも年かしら?
風蘭まあ、イツキは間違いなくあのころよりシワ増えてるよな
樹なんですって?
風蘭はははっ
樹……もう
樹…………
樹……あの子たち、いい子に育ったわね
風蘭ああ……そうだな
樹私たちよりも強くて、とってもたくましいわ
風蘭あたりまえだろ。このアタシと……
風蘭イツキが、育て上げたんだからな!
樹風蘭……
茉梨。私たちは、あなたが進みたがっていた教師の道を選ぶことになったわ
正直、学生のころは、教師なんて絶対やりたくないって……そう思ってた
それなのに、最近は……
この道を選んだのは、悪くないかもって……ちょっと、思いはじめてるんだ
茉梨が教師になってやりたかったこと……
それを私たちがちゃんと引き継げているかはわからないわ
でも、安心して
茉梨の……私たち3人の意志は、間違いなくあの子たちに受け継がれているから
だから、見守っててくれ。アタシたちが、あいつらを正しく導けるように
そして、いつか……答え合わせをさせてほしいの
お前の目指す教師がこういうものだったのか、これでいいのかって
いつか、必ず……
イリス愛おしく……そして哀れな星守たち……
イリスあなたたちはまだ、運命の輪にとらわれたまま……
イリス……再会のときは近い
イリス“この力”を前に、あなたたちはどんな表情を見せてくれるのでしょうか
イリスうふふふ……
イリスあはははははっ……
牡丹(強く成長した星守たち……)
牡丹(彼女たちの力で地球奪還も成し遂げることが出来ました)
牡丹(……ですが)
牡丹(あのとき地球を奪った禍々しい闇の力が、いつまた現れるとも限りません)
牡丹(人型イロウスの一件も気がかりです。十分に用心をしなければ……)
はらっ……
牡丹……これは……枯れ葉……?
牡丹な……この光は……!
???…………